38 じゃなくなる
どうぞよろしくお願いします。
私はそんなことがあるわけがと思いながらもその可能性は0ではなく……。
「早瀬製薬には培養液の考え方の元になった魔物の身体再生の粘液があります。
それはピンクがかっていると……、父が」
「魔物由来の? もしかして実験……」
井狩班長が呟いた。
「応急手当を拒否したのは?
少量なら気がつかないのだろう?」
ハヤトが疑問に思ったようで私に言う。
「……医療士の制服を、白を背景に見たら、ピンクがかっていることに気づいたのではないかと。
父は色には敏感でしたから」
「魔物の原液?」
ハヤトが呟く。
私は首を振った。
「いえ、そのものは無理でしょう。色はともかく、匂いがあると言ってました。
父は分析をして、地球にある原料で配合し直した培養液を開発しました。
今後の研究のために、原液を保存しておくために、原液を培養する術も別チームが研究していたと聞いたことがあります。
ただ研究材料として使うだけで、製品に混入しないように厳重に管理されていたと。
その……、人間と魔物を関わらせるという実験が秘密に進められているなら……。
怪我をした者が魔物の原液成分が混入した培養液で、……治療を受けている?」
「だから『ここから逃げろ』?
知らぬ間に魔物の細胞を取り込まされる実験が現場で、第三師団で!?
それに気づいて、中佐は治療を拒否した!?」
ハヤトの言葉に私は頷いた。
「それが、今のところの情報で思いつく内容……です」
「魔物の培養液で治療するとどうなるんだ?」
私は大きく息を吐いた。
知ってる。父が実験したことがあるからと聞いたことがある。
「治りは早いです。怪我もきれいに治る。
でも、ネズミじゃなくなったと聞いています」
「ネズミじゃない?」
「父は若い頃、ネズミで実験したと言ってました。
ギリシャダンジョンで。
ネズミで。魔物の原液で。
ネズミは怪我がきれいに治りましたけど……、何故か角や羽が生えてきたものや、超能力のような触れずに物を引き寄せるとか、そんな力を見せた進化ネズミが現れたそうです……。でも、長生きはできなかったと……」
「人間だったら?」
「人間の方が身体が大きいから、変化は緩やかかもしれない。
それに、薄められて調整された培養液だろうし……。
地球で培養するうえで、元の原液から変容している可能性もある。
けど……、魔物の細胞というかDNAというか、身体に引き込んでしまい、個人差はあるにしろ、何かしらの変化が徐々に出てくることは考えられます」
どうぞよろしくお願いします。




