32 『志願』して良かった!
どうぞよろしくお願いします。
車に乗り本部へ到着すると、カウンターの所で係の人に呼び止められる。昨日の人とは違う人だった。
「早瀬医療士! 伝言があります!」
昨夜までにわかったことがまとめられていた。
口座を開設しようとして、私の名前の口座が既にあることがわかったそう。
本部預かりになっていたそうだ。
作成され預けられた経緯を読むと、どうやら私が生まれた時に父が作り、給料から積み立てをしてくれていたと。母が亡くなった時期あたりに、本部へ預けていて、私自身からの問い合わせがあった時に渡すようにとなっていた。
最新の通帳だけを渡される。最後の日付は父が戦死した頃の日付で……。
係が追加の情報を口頭で伝えてくれた。
「遺族年金は違う銀行口座に振り込まれていましたが、残りの3ヶ月分はこちらに振り込むように訂正してあります。
早瀬医療士は志願で防衛隊に就職した形になります。
遺族年金は猶予の3ヶ月で停止になります。
今までの遺族年金は娘さんのあなたに渡ってないということで調査になっています」
「ありがとうございます。
この口座を使っていいのですね」
「はい、こちらをお使い下さい。
早瀬中佐が、あなたのために作っておいた口座、ですね」
「そうですね。大切に使います」
私はその通帳を胸にぎゅっと押し当てた。
「あ、スマートフォンの貸与申し込みできるだろうか?」
ハヤトが言ってくれ、用紙を差し出される。
私は記入した。
「これより申請して午後には受け取れると思います。
それから、宿舎の件ですが、昨夜、大岡大尉の婚約者ということで、申請が出ており、同居の許可が出ています。
大岡大尉、鍵の追加を申請しますか?」
「お願いする」
「では、こちらの用紙に!」
ハヤトが用紙に記入した。
「午後、また帰りにでも、スマートフォンと一緒にお渡しできるようにしておきます」
そう係の人に見送られて、私達は研究室に向かった。
研究室のドアのポストに封筒に入っていて……。
ハヤトが取り出す。
「第三師団からだ。リアの制服の残りを取りに来て欲しいと」
「あ、シャツと夏服!?」
「そうだな。入団式で着る物しか受け取ってない。
今日の夕方、取りに行こう」
「はい!」
なんか着々と自分の大切なものと、これからに必要なものが、戻ってきたり、集まってきたり……。
『志願』して本当に良かった!
叔父と美咲は、美咲の兵役一年間を短縮することしか考えていなかったんだろうけど。
私を都合のいいもののように、とあきらめと静かな怒りはあったけど……。
結果的に、私には本当に良かったんだ。
これは感謝すべきなのか!?
読んで下さり、ありがとうございます。




