25 価値観
どうぞよろしくお願いします。
ハンガーにかけないものは、クローゼットの引き出しにでも入れさせてもらおうか。
衣類を持って書斎に引き返しトントンとノックした。
「いいですか?」
「どうぞ」
そう言われてドアを開けると、もうハヤトはTシャツにラフな感じのズボンに着替え終わっていた。
私はクローゼットのハンガーにスーツとコートを掛け。ブラウスとスカートもハンガーにかけた。他の物は下の引き出しに入れ、制服のシャツを脱ごうとしてハヤトを見た。
「あ、ごめん、他に聞きたいことがなければ……」
少し赤い顔でハヤトが言って……。
「鍋の水、火を付けておいて下さい。
パスタ、何味が好きですか?」
「え、ああ、和風醤油とか?」
なぬ、和風醤油だと!?
あ、ほんだし、冷蔵庫にあった気がする。
「わかりました。すぐ着替えて行くので、パスタを茹でるお湯だけ、お願いします」
ハヤトが部屋を出てから、制服を脱いだ。
白いシャツと灰色のズボン(少し細身)、これも替えがないからはたいてハンガー掛ける。
シャツはもう1枚欲しいな。
部屋着の気に入ってる方を着た。
クローゼットの扉を閉めて、ちょっと好奇心で違う扉を開けて覗いた。
ハヤトの制服……、今日着てたのと夏服かな? と見たことがあるスーツとシャツやコートが何着か掛かっていた。
うん、ぎょっとするような服はないな。価値観はそこまで違わないようでほっとした。
そっと閉めてから、電気を消して部屋を出る。
台所でハヤトが鍋を見ている。
私は冷蔵庫から玉ねぎとアスパラガスとベーコンとしめじとほんだしを出した。
フライパンを出して「サラダ油は?」と聞くとコンロの下に引き出しがあって、出してくれた。あ、大きめな調理酒やみりんや醤油があった。塩と胡椒は棚か。
包丁とまな板は流しの横にあったので、手を洗ってアスパラガスを洗って、玉ねぎは皮をむいて切り始める。
「それ……、高校の?」
ハヤトに言われて私は頷く。
「高校の体育ジャージです。これ一番動きやすいし、楽」
「部屋着が高校ジャージ……。
え、桜花って、女子校だったの!?」
「あ、知ってるんだ。
そうです。一応、卒業直前までは早瀬家の当主令嬢でもあったので……」
ベーコンは小さな短冊状にしてみた。
お湯が沸いて、塩を入れて、パスタを2人前入れて、茹でている間にフライパンで具を炒める。
味付けにほんだしをお湯で軽く溶いたものと塩コショウした。
パスタを入れて、さらに炒めて醤油をかけ入れる。
こんなもんかな?
味見、うん、大丈夫そう。
ゆで汁が少し入っていい感じに味がまとまった。
「これ、お皿にお願いします!」
私はパスタの盛り付けをハヤトに任せて、冷蔵庫からトマトを出してくし切りに切って小鉢に乗せた。
お皿がねー、パスタ&カレー皿って感じの皿が一枚しかなくて。ハヤトがラーメンどんぶりを出してた。
小鉢は5個あって、なんかセットで買ったのかな?
フォークは5本あった、どういう数なんだ?
リビングのテーブルを拭いて、運ぶ。
「飲み物は何にしますか?」
「パスタが和風なので、お茶にする?」
「はい、茶葉は?」
「ここ、この棚にある」
ハヤトが流しの上の棚からお茶の筒を出してくれて、洗い籠から出した急須に入れた。
「茶碗が……」
「あ、私のあります!」
台所の棚に入れさせてもらった、グラスと茶碗を見せた。
「グラスとお茶飲み茶碗、こっちが私ので、こっちが父のです」
「中佐の!?」
「はい、一緒にしまっておいていいですか?」
「いいよ」
私は自分の茶碗だけ出して、洗い籠からハヤトの茶碗を取り出し並べた。
読んで下さり、ありがとうございます。




