7 区切り
どうぞよろしくお願いします。
「大丈夫?
あ、じゃなくて、寒くない? えっと……」
私の静かな微笑みに戸惑ったように声を掛けてきたのは愛理さん。
「うん……、たぶん、今、私、現実味がない。
なんか、たぶん、後から……くる気がする。
でも、嫌じゃないの。大切なことをしているのは、わかってる」
そう呟くと、愛理さんは目を伏せてしまった。
次に顔を上げた愛理さんの向かったのはハヤトで。
「大岡! しっかりしなさいよ!!」
そう言って、私の空いている手を握って、建物の中へと連れ戻してくれた。
なんとなくお茶を飲んで、なんとなく父の話をぼそぼそしたりして……。
骨は、原さんとハヤトと井狩さんが拾いに行って、骨壺に納めて、戻ってきてくれた。
骨壺の入った箱を抱くと温かい気がした。
お父さんの笑顔が浮かんだ。
眼が熱い。
私は大きく息を吐いた。
骨壺は日本に持ち帰るまで安置しておいてもらえる場所があり、そこへ納めて……。
私達は再び、外へ出た。
アラスカで、緑豊かなお寺とかそういうこともなく。
殺風景な草原というか荒れ地が広がり、空は広くて。
ダンジョンの中の方が自然豊かだな……なんてぼんやり思った。
車に乗り、宿舎まで来ると、降りる準備をしている私にジェシーが言った。
「アレク、君はひとりじゃない」
「うん」
「ハヤトに、それに私にタニアにロイ、モーゼ……。
みんな血の繋がりと縁で結ばれた君の家族だ」
私はにっこり頷いた。
「ジェシーもロイも……。
お父さんとお母さんを失ったばかりで……」
「アレクにとっても、リーリラにとってもだ。
同じだよ」
「うん……」
モーゼも言った。
「今は休みなさい。
そのうち、アレクの父や母の思い出話を、笑って聞かせてくれ」
「はい!」
私は涙目で頷いたんだと思う。
それからのことはよく覚えていない。
ハヤトと部屋に帰って来て。ふたりとも疲れた顔をしてて。
ふたりで水を飲んで、そのままベッドに寝転んで、手を取って見つめ合いながら寝てしまった。
父の葬儀というか……。
お葬式は東京でもしたんだけど、形だけね。早瀬の当主が亡くなったわけだから、きちんと知らしめるためにもしなきゃいけなくて。
今回で、本当に、父にお別れと、ありがとうと、もう大丈夫だよって言えて、大きく区切りが付けた気がした。
目覚めて私はハヤトに言った。
「ありがとう。
父を本当の意味で見送らせてくれて。
私はもう大丈夫。
あなたがいるから」
ハヤトもすっきりした表情をしていた。
「良かった……。
俺も、リアがいるから、大丈夫だ」
ふたりで『クククッ』と笑っちゃった。
「子どもが生まれて……。半年ぐらいすれば、日本に一度帰れるかな?
父をお墓に入れてあげたいし、ハヤトのお母さんにも会ってみたいよ」
「ああ、連れて行く!」
読んで下さり、ありがとうございます。
さあ、後、出産前にすべきことは!?




