6 父とのお別れ
どうぞよろしくお願いします。
「リア、大丈夫か?
ゆっくりでいいからな」
ハヤトが私にぴったりと寄り添い、声を掛けてくれる。
でも、私は気がついている。
ハヤトもいっぱいいっぱいで、私を気にすることで何とか保ってる。
お互い支え合って……。
私は頷く。
「うん、ありがとう」
原さん、井狩さん、ジェシー、ロイ、モーゼ、早乙女夫妻と小野田さんも来てくれた。
早瀬冬馬は、ハヤトと私の……、こんなに、こんなにも大切な、お父さんだった。
父は、エンバーミングと言うの? お別れができるように整えてもらって、白木の棺桶の中に白い軍服を着て横たわっていた。
少し微笑んでいるような……。
「お父さん……」「中佐……」
私達は同時に呼びかけ、でもそれが当たり前のように感じた。
私は父に近づいて片手を差し伸べ上に翳すようにして治癒魔法……と言っても魔物の混入を取り除く浄化という感じの魔法を掛ける。もう片方の手はハヤトが握っている。
少しだけ感じた。
最初は混入された培養液を気づかずに怪我人に父自身が使ってしまったような話を聞いたから、その時に自分にもかかったのかも。
そして、自身が負った深手、これからも混入があったかもだし。
その時、医療士の白い制服越しに培養液に色が付いていることを認識した時、驚いたよね。
でも、反射的に拒否した。
父だから、気づいたこと。
大丈夫、お父さん。
お父さんが気づかず培養液をかけてしまった人はちゃんと浄化したから。
もう大丈夫。
終わったよ。何もかも。
「魔物の気配、ほとんどありません。
浄化できました。もう大丈夫です」
私は傍に立っていた検視官や係の人に言った。
井狩さんが白い花を手渡してくれた。
父の胸の上にそっと乗せた。
ハヤトも空いている片手に白い花を受け取ると、父の胸に……。
「うっ……。中佐!
リアを、絶対幸せにします、というか、俺が幸せにしてもらってますっ」
呟くハヤト。
私は握った手にぎゅっと力を入れた。
「お父さん! 私、幸せだから!
ありがとう……。お母さんとお父さんに命を貰って、ここまで導かれた気がする……。
今、すごくふたりを身近に感じるの。ありがとう……」
そうして後ろに下がった。
ハヤトが静かに泣いている。
私は微笑んで寄り添った。
井狩さん、原さん、ロイ、ジェシー、そしてモーゼ、小野田さん、早乙女さん、愛理さん……。
みんな白い花を手向けて言葉を掛けてくれている。
井狩さん、原さんの目にも光るものが浮かんでいる。
そして、父の棺桶の蓋がされ、そのまま、炉の扉が開き、その中へ棺桶が移動させられ、扉が閉まる。
私達はじっと目を閉じて祈り、そして、その部屋から出た。
そのまま、時間を潰さないといけないので、なんだか建物の外にぶらっと出て。
短い夏の日差し。
愛理さんと小野田さんがなんとなくゆっくりとそばに来てくれて……。
読んで下さり、ありがとうございます。




