52 狂気と正気の間には
どうぞよろしくお願いします。
王だった。
王が剣を抜き、シリウスの剣から王妃を守った。
「あなた!!」
王妃が驚きの表情で大きな声を上げる。
「すまない……、何もかも君に、決断させてっ!
無理をさせた……」
王は王妃に謝ると剣をシリウスへぴたりと向けた。
「最後くらい……。
リーリラ! ジュドー!
幸せになるんだよ!
父と母を許してくれ!」
王の声が後ろ向きのままだけど、私達に届いた。
その時、風が吹き、魔法陣が光り……。
私は「お父様! お母様!」と叫んだ!
なぜだろう。おじい様、おばあ様じゃなく。
王からはリーリラとして思われたような気がした。
正気じゃないのに、わかってないのに、でも、正気なんだと、だから……。
魔法陣からハヤトに抱きしめられてすぐに出る。
地球だ、アラスカダンジョンの……、中。
私は振り返って魔法陣をじっと見つめた。
ハヤトもそのまま一緒に待ってくれた。
魔法陣が光り、騎士ふたりとモーゼが現れた。
ほっとすると同時に……。わかっていたけど、涙が次から次へと溢れてきて……。
「おかえり」
ハヤトが言ってくれて。
「迎えに来てくれてありがとう。すごく幸せだった」
私の言葉にハヤトが頭を撫でて抱き寄せてくれたので、しがみついて泣いた。
そのまま、しばらく周囲のことなどかまっていられなかったが「ほら、アレク! 大岡が困ってる!」と言われて顔を上げると愛理さんがハヤトと私の間に入って来て、私の頭を抱きしめた。
私は「愛理さーん!!」と愛理さんに手を伸ばし、ハヤトが「えっ?」となって離れた。
見ると早乙女中尉がハヤトを後ろからヘッドロックしていた。
「おい、早く報告にこいや」
「いや、その、リアとっ!」
「愛理、アレクさんのこと頼んだ!」
「任せて!」
あれよあれよという間にハヤトは離れていき、私は愛理さんと黒須ちゃんに確保されてた。
「不思議な服~。これが異世界の服?
こんなの来たら、ロイさんが喜ぶかしら?」
「えっ? 黒須ちゃん?」
愛理さんがにっこり笑う。
「さあ、とりあえず、病院へ行くわよ!」
「え?」
「妊娠してんでしょ!」
「あ、……はい、たぶん」
そうなのだ。
検査薬とかないから、たぶん、なんだけど。
まさか、わざとオーガの前に出て見るとか、できないもんな……。
でも、生理は確かに来てない。
「はい。生理来てないです……」
「まず清潔にして、それから健康診断とお腹の赤ちゃんの様子を診ないと!」
はっ、確かに、向こうで風呂らしい風呂に入っていない……。
顔をまあ洗ってたけど、身体は時々洗い流したり拭いたりしたくらいで……。
石鹸で洗えたのなんて1回きりだ!
「わー、私、汚れてるっ!
やー、臭かった!?
ハヤトにあんなに抱きついちゃったー!!」
急に現実に引き戻された。
読んで下さり、ありがとうございます。
やっと現実世界に戻ってきました!
すみません。
恋愛現実世界ジャンルで書いていたんですが、んー、最終的に異世界に行って帰って来て、現実世界が魔法が使える世界になっちゃったので、恋愛異世界の方が当てはまってる? ローファンタジーとやらになるのか!? と混乱しましたが、考えて、恋愛異世界と変更しました。
ああ、前の作品は恋愛異世界で書き出したのに恋愛現実世界になっちゃったんだよな……。そちらは異世界から現実に転生したというか、地球に転生流刑にされた兄妹の話でしたが……。転生後の地球の恋愛が主流になってきちゃって……。
こっちは現実世界の大人な(?)恋愛から始まって、異世界に行っちゃって戻ってきて……。異世界寄りな感じに……。
ジャンルって難しいです……。




