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51 別れの前に

どうぞよろしくお願いします。

 モーゼとジェシーは神官の顔はわかる。

 騎士や魔法使い、弓兵と最後まで戦いに参加してくれていた人達を転移していく。

 ドクも来てくれて薬や書物を抱えて転移していく。


 王と王妃が来た。

 ジェシーとモーゼに促され、イサクとイオに別れの挨拶をしてもらうと、イサクとイオと護衛騎士を転移させた。

 そして弓兵の何人かが進んできた時、そのうちのひとりを指差した王妃が「この人は神官ね」と言った。


「ひいっ!」

 その兵の服を着た若い神官はガタガタ震えだし、跪いた。

「……お、お願いです。助けて下さい……」


 ジェシーが「助けてやりましょう」と言う。

「助けて欲しいという者は助けましょう」


 その言葉に4人ほど、順番待ちをしていた兵が立ち上がり両手を上げてこちらに来た。

「あなた達……」

 王妃の驚いた声。


「ジェシー様。

 助けて下さい。

 私達も生きていたいのです……」


 神官達は項垂れ、命乞いをジェシーとモーゼにしている。


「念のため、神官は武器を持っていないことを確認させてくれ。手は拘束させてもらおう。

 そして、ジェシー、護衛騎士と一緒に行ってくれ」

 モーゼの言葉にジェシーが「私は最後に!」と叫ぶ。


 王妃はジェシーに近づき抱きしめた。

「そうね、ジェシー、頼んだわ。

 ええ、頼みました……。後のことは……。タニアと幸せに……」

 ジェシーは王妃を抱きしめ、王を見た。

 そして頷き、護衛騎士のふたりと拘束した神官5人を連れて転移して行った。


 そういえば、シリウスはいないな。

 

 ジェシーが抜けたところにロイが入り、佐伯さん、福澤さん、騎士ふたりと弓兵ふたりを転移する。

 もうあと2回か、3回で……。


 最後の弓兵ふたりとロイと私とハヤトと原さんが先に行けとモーゼが言う。

 騎士ふたりとモーゼが最後に転移するからと。

 

 王妃がロイと私を抱きしめ「頼んだわ!」」と言って離れた。

 その時、礼拝室のドアが開いて……、シリウスが入ってきた。

 まだ神官の服を着ている。顔色が悪い。

 手に、剣を持っていた。


「リーリラ、行くな!

 お前がいれば、この地はもう少し生き延びられる!

 今度こそ、私を選んでくれ!」


 ハヤトの腕の中の私をひたと見据えている。


 やはりリーリラのことが好きで、救うとか言いながらリーリラを自分のものにしようとして逃げられた。

 最後にリーリラによく似た私が現れて、その叶えられなかった思いが……。


「シリウス!

 あなた、リーリラとジュドーを引裂いておいて!」

 王妃だった。

 王妃が声を荒げてシリウスの前に立ちはだかろうとしている。

 私は悲鳴を上げた。

「危ないっ! やめて!!」


 モーゼは魔法陣を固定していて動けない。護衛騎士もモーゼの側にいて遠い。

 私は思わず魔法陣から、ハヤトの腕の中からもがいて飛び出そうとした。

 その時、私の前を横切って王妃の方へ飛び出した人影が!


読んで下さり、ありがとうございます。

後1話で第3章が終わります。

ここまで長くお付き合いいただいた皆様、ありがとうございます。

後は最終章でその後のことを少し書く予定です。少しというのはたぶん他の章のように50話とかにはならないってことで、10話くらいかな、なんて思います。

後もう少し、これからもっと幸せになるリアとハヤトを見守って頂けたらうれしいです。

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