50 ラストスパート!
どうぞよろしくお願いします。
「何でモーゼ戻って……!」
私の呆れたような言葉にモーゼが答える。
「なんでとはずいぶんな。
手伝いに戻って来たよ。
向こうにはアメンと部下の神官もいるし、もうこちらの民の扱いになれた防衛隊の面々もいる。
地球とはいろいろな国で成り立っている世界なのだな。
各国が協力を申し出てくれ、転移した民はすぐにダンジョンを出て保護されている」
モーゼが防衛隊とか各国とか言うのがなんか新鮮。
「教えてくれてありがとう、モーゼ!」
私はモーゼに抱きついてお礼を言った。
「魔物が出たのか?
そういえば、シリウスは逃げたのだろう?
神官の嫌がらせかもな……」
「嫌がらせ?」
そういやロイもそんなことを言ってた……。
「アメンに聞いた。
地球ではダンジョンの中にしか魔物はいないから、魔物をわざと防衛隊の手薄な部隊にぶつけたり、実験と称して部隊と魔物をぶつかるように誘導したりしていたそうだ」
「……じゃあ、今まで、城を襲ってきていた魔物も?」
「全部が全部、自然だったということはなさそうだな」
「そんな……」
福澤さんとハヤトが「中門に向かう!」と言って走って行ってしまう。
「……ハヤト」
私は小さな声で見送る。
「アレク、ジェシーを休ませている間に私と民を送るぞ!」
「はいっ!」
私は魔法陣の前に立ち、モーゼと手を繋ぎ、アラスカダンジョンを思い出し、繋げる。
そして、次々に並んでいる民や兵や家族を転移させていった。
イサクやイオが案内してくる者達が騎士の家族や魔法使いの家族となり、戦いの最中だが、そこにいる騎士や魔法使いには家族と共に転移してもらう。
「いや、まだ戦いが! 行けぬ!」という人もいたけれど、モーゼやイサクが説得して転移してもらった。
中門の様子が伝えられる。
オーガが2頭、正門から突入してきたそう。
ロイと佐伯さん、福澤さんの魔法攻撃と弓兵の攻撃で、王庭の途中で力尽き倒れ……、ほぼ火葬状態だとか。
どさくさに紛れて、神官らしき人物が侵入したという話が錯綜している。
私達は騎士や兵、そして家族がいる人を先にどんどん転移させていき、戻って来たロイに、まもなく最終段階になるので王の間に行き、王と王妃を連れて来てほしいとお願いした。
王の間の残る選択をした人の中で気が変わった人がいたら、連れて来てほしいということもお願いした。
ロイと佐伯さんが走っていく。
あのふたり、ずいぶん仲良しになったなあ。
ハヤトと原さんが戻ってきて、周囲を気にしている。
原さんは中門から私のリュックを持って来てくれていた。
「アレクさん、神官が服を変えて入り込んでいるようです。気をつけましょう」
はあ、いつもの原さんだあ。
読んで下さり、ありがとうございます。




