18 おかしなところを整える
どうぞよろしくお願いします。
地下の駐車場から上に上がり、大きなエントランスを進んで、長い廊下を歩いて行くと連絡通路なのか違う建物に入ったのがわかった。
役所のようなカウンターのある場所に出た。
事務手続きする所みたいだ。
私はカウンターに近づき、辞令と封筒の書類を提出した。
さっき第三師団で手続したようなことがくり返され、辞令通りに本部付きになったことが身分証に記入されたようだ。
他に事務的な手続きで銀行口座のことを聞かれた。
製薬会社の給料を受け取るために渡された口座はあったのだが、退職したことで空にして会社に返した。なので私自身は口座を持っていない。説明すると驚かれた。
国の金融機関で口座を急遽作ってくれることになる。防衛隊の身分証で作れるそうだ。
「……カードやスマホなども持っていない?」
怪訝そうに聞かれた。
そう思いますよね。このご時世。現金を使うことはかなり少なくなっている。
「はい、持っていません。
給与から、定期として使っていた交通系カードにチャージして使っていました。
後は現金で。会社と連絡を取るために電話だけの機能の端末を渡されていましたが、それも返しました」
「不便だったでしょう?」
社宅や光熱費は一定量を天引きされていたし、生活費程度しか振り込まれず、それで日常の買い物は充分だったと言うと驚かれる。
会社と社宅のアパートの往復と生活のための買い物だけだったし、連絡先がそのように制限されていて、友人とも連絡が取れず、会社の同僚とも距離を取られていて……。
会社の方にも退職金と最後の月の給与の確認をしてくれるという。そうか、来月、今月働いた給料が振り込まれるはずだよね。
退職と同時に口座も返すように言われたから……。それらは宙に浮いている。
「それに、早瀬准将の遺族年金もあるはずですよ」
係の人にそう言われて……、首を傾げる。
「そういう話は聞いていません」
「変な話ですが、遺産もアレクサンドリアさんに渡っているはずです」
「……すみません。わかりません」
「……わかりました。こちらで調べて、遺族年金は新しい口座に入るようにしておきます。
遺産については……、給与や退職金、それに志願までの休暇や在職ルールなどのことと一緒に調査局に回しておきます」
「お手数おかけしてすみません」
私は頭を下げて謝るというか、お礼を言うというか……。
たぶん上級学校に通えていたら、友人や先生に相談できていたのかも。
だから、私を他の人とは関わらないように……。
髪を染め、眼鏡をかけさせ……。
「髪を染めているんだよな」
ハヤトに言われて我に返った。
「はい、染めてます」
「髪色をとりあえず、戻そう。ではこっちへ」
再び歩き出したハヤトを追って行くと、理容&美容室と看板が出ている所へ着いた。
女性の美容師さんに私は預けられ、ハヤトはどこかへ行ってしまった。
「これは、染めてるというか……、かなり痛んでるわね」
美容師さんが私の髪を梳かしながら顔を顰める。
「はい、元は明るい薄茶みたいな色で、伸びてくると目立つので自分で頻繁に染め直ししていました」
「うーん、そうね。
一度クレンジングシャンプーしてから、傷んだところは切りましょう。根元の色に合わせて染め直しましょうか。それが一番自然だね」
「……よろしくお願いします」
読んで下さり、ありがとうございます。




