48 王と王妃
どうぞよろしくお願いします。
王と王妃は一番大きな王の間にいて……。
そこには何人もの年配の人がいて、ハミル婆の姿もあった。
「ハミル婆!?」
「アレク……、あなた聖女様だったのね!」
「なんでここに!?
転移するなら控室の方に……」
「……私は行かないわ」
「ハミル婆、マリアもオーラも、もう向こうにいるよ!
きっと、待ってる!」
「ありがとう。
でも、ごめんなさいね。
私は……、この世界で生を終えたいの」
ハミル婆の静かな言葉に私はなんて言ったらいいかわからなくなる。
私は周囲をぐるっと見回した。
そういうことか……。
この部屋には、転移をせずに、この世界に留まりたいと願った者が集まっている。
それもまた、希望だ。
「……まだ時間に余裕があります。
気持ちが変わったら……、私を呼んで」
それしか言えない。
「ありがとう……」
ハミル婆が私の頭と頬を撫でてくれた。
私は王と王妃の所へ行った。
「ジェシーとロイとイサクとイオ……。
頑張ってくれています。
王と王妃もそろそろ転移の準備を!」
王妃が静かに言う。
「アレク……、私達は……」
「地球に責任を取るって仰ってましたよね。
行かないで、どうやって、責任を取るんです!」
「……意地悪なことを言うのね。
私と王は、この世界にも責任があるの」
「身体が足りないですね」
「ふふ、本当にそう。もてて困っちゃうわ」
私も笑ってしまった。
王妃は笑ってから、私の手を取った。
「……ごめんなさい。
地球への責任は私と王は取れそうもないわ。
あの時は自信満々に言ったのにね。
あんなに王として王妃として、何とかしなくてはと言っていたのに。
今、こうやって実際にその時が来たというのに……。
私達は結局、何もできない。
ここまで何もできないとはね……」
「そんなことはありません!
王と王妃が……、神官達と渡り合って、すべてを渡さないようにと頑張って来たのでしょう!?」
私が怒ったように言うと王妃が笑う。
「アレク、なぜあなたが怒るのよ。
そうね……、してたつもりだったのかも。
神官達にしてみたら、民の不満の受け皿として利用価値が少々あるくらいだったのかも。
ジェシーにもロイにもずいぶん我慢させたわ。
リーリラにも……。
アレク……、本当にあなた達を守れなくて……、すまなかったわ」
「最後には来て下さい!
せめて、最後に、ジェシーやロイやイサクにイオ、そして私のことも……、見送って……」
「ええ、アレク。
最後には行くわ。見送りに……」
王を見ると、私とハヤトを見て微笑んで頷いている。
「あ、ハヤトです。
私の夫。ジュドーの血筋に当たります」
私はハヤトを紹介した。
王妃は「ジュドーに似ているわ」と涙ぐみ、王は私とハヤトの手を取って、重ね合わせてくれた。
「ありがとうございます……」
そのまま、なんとなく城を出て、中門の方へ様子を見に行く。
少し気持ちを落ちつける時間が必要だった。
だんだん落ち着いて来て、中門の騎士に確認する。
「王庭の民はもう全員、城に入りましたか?」
読んで下さり、ありがとうございます。




