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44 守るために

どうぞよろしくお願いします。

 私はアラスカダンジョンを念じて、画像として捉えた。もう慣れたものだ。でも、そのぶん、魔法陣とその周囲を注意深く観察する。

 うん、大丈夫そう。その時、カレンダー付の時計が魔法陣の近くのテーブルに置かれているのが見えた。

 これは前になかった!

 たぶん、ライナスやマインの話を聞いてハヤトが目安になればと置いてくれたのかもしれない!


「大丈夫です!」

 私は元気に言った。


 最初の家族が魔法陣に入り、モーゼが魔法陣を重ねる。風と光。

 そして向こうについた家族はまごつくこともなく魔法陣から出て行く。

 きちんと対応してもらえている!


「はい、次行けます!」


 次々に4組の家族を送った。

 あと1組待っている。

 その時、見張りが家族を連れて戻って来て、家の中に入ってきた。

「私達を先に!!」と言いながらこちらの部屋に押し通ろうとする。


 原さんが「順番だ。この次に!」と言って止めてくれているのが見えた。


「早くしないと! 神官が! 私達は逃げないと!」

 逃げる?

 そういえば、家族を迎えに行く時もそんなことを言ってたな。

 タニアが残っていた1組の家族を先に魔法陣へと進むように促した。

 私は魔法陣に意識を集中し、モーゼがその家族を送る。


 見張りの家族は雪崩れ込むように空いた魔法陣の上に駆け込んだ。

「早く!!」


 ドアが開き、神官達が入ってきた。

 先頭のシリウスは魔法陣の上の見張りを見て「待て!」と言った。

 モーゼは魔法陣を重ね、見張りの家族は地球へと無事に転移して行った。


 シリウスの怒ったような声が響く。

「約束が違うではないか!!」

「希望する者は助ける。約束はたがえてはいない」

 モーゼが淡々と答える。


「今の者は神殿の者!!

 勝手に転移していい者ではない!

 しかも……、転移したいと言い出すなんて、お前達、神殿の悪口を吹き込んだのだろう!

 転移先の地球で神殿のことを悪く言い、モーゼ、お前を称える言葉を口にするだろう。

 それを狙ったのか!」

「……彼は以前より、自分も家族と安全な地へと願っていた。

 それを知っていたから、叶えただけだ。

 他意はない」


 そうか……、見張りの人はモーゼの方を悪人だと言われて見張っていたけれど、今回のことで、神殿の神官の方が王家や民を騙して何やらしていることを知ってしまい、神官が転移に関わってくると自分と家族が疎外される可能性があると考えて焦っていたんだ!

 モーゼはそれをわかっていて、彼と彼の家族を逃がした。


 シリウスが床に伸びる鎖の真ん中あたりを睨みつける。

 鎖を破壊するような力を感じた、魔法、か!?

 私は手を繋いでいるモーゼとタニアを魔法陣の上に立たせた。そして手を離す。

 それを見てジェシーもタニアから手を離し、私の方へ来た。

「ジェシー!?」

 タニアの叫び声。

「行って!」

 私は叫んだ。

「しかし!!」

 躊躇しているモーゼの声。

 私はモーゼがしていたように頭の中のアラスカダンジョンの魔法陣の画像をモーゼとタニアが乗る魔法陣に重ねた。

 その時、モーゼの鎖がシリウスの魔法で砕け散った。

 風、光。

 モーゼとタニアの姿が魔法陣の上から消えた。


 ロイとアメンとやらが、モーゼの足輪をなんとかしてくれるといいんだけど!!

読んで下さり、ありがとうございます。

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