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42 新展開

どうぞよろしくお願いします。

 シリウスは原さんに向かって「外の者を呼んできてくれ」と言った。

 原さんが外へと向かう。


「リーリラの娘、名は本当にアレクなのか?」

 シリウスの問いにモーゼが答えてくれた。

「リーリラ様が名付けたそうだ。アレクサンドリアと」

 シリウスが私を見た。

「アレクサンドリア……、それでは……、リーリラはこちらの世界のことを……」

 モーゼが笑った。

「地球という新天地での我らが初代聖女というところかな」

「……そう願った。王族として、そう願ったということか……」

 何か考え込んでいるシリウス。

 神官2人と見張りが原さんと一緒に入ってきた。

 シリウスが威厳を取り戻し指示を出す。

「モーゼの罪が許された。

 明日、モーゼの鎖を外し、神殿へ」

 私は慌てた。

「待って下さい!

 近隣の方々には転移の希望があればこの家に来るように伝えているんです!

 神殿や王城の辺りは魔物が出やすくなっていると聞きますし!

 2~3日ここで活動させてもらえませんか!?」

 シリウスが冷たく表情を変えずに言った。

「いや、神殿がこれより新天地に転移する者達の順番は決めて指示する」

「そんな! 行ける人から……」

 私が言いかけるがモーゼが私の前に手を出し制したので黙った。

「シリウス、身分などそういうことで選んでいる場合ではないのだ」

「モーゼ、神官として行動するなら神殿の命には従って下さい。

 それでは明日、お迎えに参ります」


 シリウスは神官ふたりを連れて、まだ暗い外へ出て行った。

 モーゼは閉じられた玄関を見て笑った。

「あんなに慌てて!

 確認せずに行ってしまったな」

「何を?」

 私が不思議に思って聞くと「魔法陣だよ」とモーゼがさらに笑った。


「あ、そうですね!

 もう転移したとか言っちゃったのに」

「それだけ、これからのことで頭がいっぱいだったのだろう」

 見張りが思い詰めたように言った。

「モーゼ様!

 家族を連れて参りますので、地球へ、私達をお逃がし下さい!!」

「……できないことはないが。神殿に行ってしまうと、誰を先にとか約束は難しくなる」

「今! 今、連れて参りますっ!!」

 私は窓から外を見た。空はまだ暗い。さっきよりは少し、明るくはなってきているが。

「ご家族は神殿でしたよね?

 まだ暗い中を移動するのは危ないのでは!?」

「大丈夫です。今なら神官様も神殿に向かっている。

 それにもう夜明けです。

 私も走り、家族を連れてきます!!」

 そう言うとこちらの返事も待たず、見張りは外へ走って行ってしまった。

 モーゼは原さんに言った。

「原さん。城の魔法陣へあなたを送るから、タニアとジェシーと騎士を数人連れて帰ってきてくれないか?」

 原さんは頷き、私と一緒に床のマットをくるくる巻くのを手伝ってくれた。


「アレクさん、気をつけて下さいよ」 

 そう言って原さんは王城へ転移して行った。


「朝になって……、転移を希望する家族が何組か来るやもしれない。

 その者達の転移はできるだけ叶えてやる。

 それでいいな、アレク?」

「はい!

 では、それまでに少しでも腹ごしらえを!!」

「そうだな! 朝食にしよう!」

 モーゼと私は微笑み合った。


読んで下さり、ありがとうございます。

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