41 取引
どうぞよろしくお願いします。
「地球から来たんです、私達。
防衛隊側についたロイが邪魔になったのでしょう。
ダンジョンの中の魔法陣に私達は誘い込まれて……。
ロイを送り返すつもりだったのでしょう。
代わりに私と原さんがこちらに来てしまいました」
シリウスが驚きの表情をする。
「だから!
誰も戻って来なくなったのか!」
「はい、その魔法陣はもうずっと防衛隊に見張られていますから」
原さんも地球のことを伝えてくれる。
「そして、そちらの神官のアメンという名の者がこちらに協力をしてくれています」
「……アメンが!」
シリウスがモーゼを見た。
「あなたが、何かを!」
「いや、私は何もしていない。
アメンは……、自分で考えて、王家の方に、この世界の民を救うためにという考えを自分の考えとしたのだろう。
アメンとロイが向こうにいるなら、魔法陣でこちらから民を逆召喚することは可能だ。
ここに地球のことを知るアレクもいる。
アレクはリーリラの娘で、最初から魔力を持ち、しかも召喚された聖女並みの力を発揮し始めている。
彼女と私、そしてタニアとジェシー、もう、それだけでも安全に地球に民を送ることはできている」
「えっ!?」
シリウスが驚きの余り、身体のバランスを崩したように後ろに尻餅をついて座り込んだ。
モーゼは笑った。
「ここは、神官への敬意を民に残すか残さないか……、よく考えて返事をしてもらいたい。
神官が王家や地球に対して行っていたことをやめて、王家の考えに従って、希望する民を地球という新天地へ逆召喚することに協力してもらえないだろうか?」
私はモーゼを見た。
取引か。
でも、民の中にはまだ神官への尊敬と恐れが多く残っている。
しかも、この状態で神官と王家の戦いになったら、命を落とすのは民だ……。
そう、神官が王家や民に言っていたように行動してくれれば、私達がしたいことが迅速にできる。
裏でしていたことは……、その後だ。
「どうだ、シリウス。
ここは神殿への信仰を失わせないためにも、我らは手を組むべきではないかね?」
モーゼの言葉に真顔で考え込むシリウス。
やがて……、大きく息を吐いて、返事をした。
「……よかろう。
神殿としては民を救うために、王家と協力し行ってきたことが実を結び、とうとう、新天地である地球への逆召喚が可能になった、と」
シリウスがゆっくりと立ち上がった。
「モーゼ。
君の罪を許そう」
「はて、私の罪とは?」
「地球へのダンジョンの種を持ち込みや王家の方々の逆召喚について……、反対していたことだ」
モーゼはふっと笑った。
「その私が、民の地球への逆召喚を行うことになるとはね……」
読んで下さり、ありがとうございます。




