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40 未来への願い

どうぞよろしくお願いします。

「リーリラだけ?」

 私は声を詰まらせた。

 母に何があったのか?


「ジュドーが魔法陣でひとり送られるのを見て、泣いていたリーリラ。

 私は彼女を押さえ付けていた。

 ジュドーが消えて、安心して手を離した。

 もうどうしようもないからね。

 なのに、リーリラはまだ光の微かに残る魔法陣に飛び込んで自分で魔力を流したのだ。

 私が止める間もなく!

 愚かな……。

 美しく気高い王女だと思っていたが、たったひとりの男に、恋に溺れた、ただの哀れな女だったのだ」


 この人が、ジュドーとリーリラを引き離した原因!?

 

「なぜ、そんなことを!!

 生贄だとわかっていたなら、愛する二人をそのまま送ってやればいいものを!

 王妃や王ともそのように約束していたのだろう!

 なぜ、引き離した!」

「引き離した?

 助けようとしたのだ、私は」

「王家の方々を、これからの民の逆召喚のために必要だからと言い含めながら、生贄だと考えていたのですね……。

 そして、リーリラに対しては個人的な思いで、傲慢に救ってやると、愛する二人を引き離した!」

「……それがどうした。

 生贄らしく、向こうでしばらく生きて無様に死ねばいいのに、何を頑張ったのか、地球の人間の中に入り、子を成すとはね……。

 王家の誇りも何もあったものではないな!

 特にジュドーはリーリラ以外の地球の人間の女と子を成し……」

「ふざけないで!

 彼らは懸命に生きた!

 孤独に耐え、その中で人と触れ合い、自分の居場所を作り、そして、人を愛して自分の子孫を残した。

 未来へ。自分とこの世界の民の未来を繋げるために!

 あんたなんかに侮辱されたくない!」  

 私は本当に頭にきて叫んでいた。

 原さんもモーゼも叫んでいる私を見て驚いている。

「アレクさん、落ち着いて下さい!」

 原さんに言われて、私は深呼吸した。

 そうだ、お腹の子がびっくりしちゃうかな。

 自然にお腹に手を当てる。

 ここに、地球とこの世界の未来へと願いを託された子がいる。

 ジュドーの血、リーリラの血、そして地球の人間、私の父の冬馬の血を継いで思いを紡いで……。

 ここにいる私とハヤトの子ども。


「…私はリーリラと地球の早瀬冬馬の娘です。

 リーリラはジュドーから数十年離れた年代に逆召喚されてしまい……。父と結婚して私を産みました。

 そして私はジュドーの子孫であるハヤトに出会い、結婚しました!

 ジュドーもリーリラも生贄なんかじゃない!

 あんた達に愚かだとか哀れだとか言われたくない!!」

「……リーリラの娘?」

 シリウスが顔を顰めた。

 原さんが言った。

「地球ではもうこの世界が地球にダンジョンを送り込んだこと。地球で生きていくために、あなた方にとって必要な『魔力』を生成するダンジョンを地球に持ち込んだことはわかっている。

 王家の人が送り込まれ、地球人と一緒になり、新人類と呼ばれる『魔法』が使える人間が現れていることも確認している。

 そして、この世界の神官が地球の人間を下等であると貶めるために様々な工作やDEと呼ばれる秘密結社を作り魔物との交配や魔物の細胞を人間に取り込ませるような実験を行おうとしていてこともわかっている。

 ロイが我々の方ついて、真実を語ってくれたこともあり、地球の神官の中で仲間割れが起き、シリウス神官のように考える者は追い詰められている状態です」

「な、なに?

 お前はいったい!

 リーリラの娘も!

 なぜここにいるんだ!」

 シリウスが顔色を変え、呻くように言った。


読んで下さり、ありがとうございます。

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