39 神官シリウス
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シリウスと呼ばれたその神官は後ろに控えるように立っているふたりの神官と見張りを見ると「外へ出ていてくれ」と言った。
「シリウス様?」「おひとりでは!?」
「大丈夫だ。出ていろ。家から出ろ!」
神官シリウスが強い口調でそう言うと、ふたりの神官と見張りは玄関を出て、家の外へ出た。
「これでいいか?」
シリウスがこちらを見て言った。
モーゼは頷いた。
「シリウス。
私達は希望する民達を『地球』に送りたいと思っている」
モーゼの言葉にシリウスが薄く笑う。
「まだ、時期ではない。
それに逆召喚は、召喚すら難しい状態なのに無理だろう」
「……このまま、神殿の神官達は、民が魔物に襲われ傷つき、生活に困窮し、苦労して死んでいくのを見ているだけなのか?
何のために、地球にダンジョンの種を送り込み、マルス様、カレン様、ジュドー様、リーリラ様、そしてロイ様を送り込んだのだ!?」
「それは……、地球で、地球で人間よりも我らの方が上であるという力を示すために……」
「そんな時間はもうないだろう!
現実を見ろ!
今すぐにでも、向こうにロイ様が生きているうちに民を送った方がいい!」
「しかし、今のままでは、我らが助けを求める方になってしまう!
それでは優位に立てない!
ダンジョンを送り込んだこともある、交渉で優位に立てないと、我らは!
そうだ、地球には『魔力』がない。
だからダンジョンを埋め込み、地球にダンジョンが出現すれば、魔物に対抗する術を持たない地球の人間は逃げまどい、魔物が溢れ出して乱れた世になると思ったのだ!
そうなれば、魔物との戦いの術を知っている我々が優位に立てる。
しかし、地球の人間は思っていたより技術的力や団結力が強く、魔物との戦いに長けていて、最初のダンジョン最深部まで到達し、ダンジョンの種を物理的に破壊した。
まあ、そのことで地球に巣くったダンジョンは別の地へと新しい芽吹きを迎えたわけだが……。
我々は待っていたんだ。
地球の人間がダンジョンや魔物との戦いに疲れ、逆に救いを求めることを」
「……しかし、地球の人間はダンジョンを押さえ込み、うまくコントロールし始めた。
そしてダンジョンにより地球上に現れた魔力をも取り込み、魔法を使える者が現れてきた。
これは地球から来た召喚者が強い魔法を使えるようになることを見ていれば予想できたのではないか?」
「はっ!
地球の人間は魔力を持たずに魔物と交配して魔物を産むのだぞ!
魔法の力を得るために、魔物との交配を試みようとする人間は、私達より下等な魔物に近い生き物なのだ!」
この人は……、地球に行ったことがあるのか!?
「王族のカレン、マルス、ジュドー、リーリラ……。
この4人の子孫もいます!」
私の言葉にシリウスが笑う。
「地球で我々が生存することができるのか、その確認のためだけに逆召喚された。
生贄だよ。
王族だからと、責任と誇りを押し付けられて、哀れで愚かな……。
そうだ。リーリラだけは密かに助けようとしたが……。
彼女も私の手を拒否して行ってしまった」
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