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29 決断の間違え

どうぞよろしくお願いします。

「オーガに追われ、怖い思いをしたのですってね。

 アレク……、私にはあなたがリーリラのように思えるの。

 本当は孫、なのにね。

 あなたが娘で、お腹の子が孫の様な気持ちよ。

 自分の身体を大切にして頂戴。

 今のあなたは、王家から外れていると言える。

 責任を感じることはない」

 王妃は私を愛おしそうに見て言葉をくれた。


「……王妃は、リーリラがかわいかった?

 愛していたのですか?」

 私の言葉に王妃が顔を顰める。

「当たり前じゃない。

 ……ジェシーから聞きました。

 リーリラとジュドーは、引き離されたのですってね……。

 そんなことになるなんて。

 私は思いもしなかったし、もし気付いていたら……、何もしてやれなかった……。

 リーリラは地球という世界で、聖女様方がいらした世界でジュドーと幸せに過ごしているものと……。

 ごめんなさい。

 私や王が神官達を信じすぎた。

 でも……、どうしようもできなくて……」

「神官達が地球でしていることが問題です。

 ダンジョンを植え付けらええたことは、地球ではかなり前の出来事になり、直接被害を受けていない国々も多いため……。

 でも、ダンジョンができてしまった国や街はたくさんの犠牲を出したのです。

 地球に逃れることを考えていたのなら、正直に話して助けを乞うべきでした。

 地球が受け入れるかは……。

 でも、もう私のような混血児もいますしね。

 きっとうまくいくと思います」

「ええ、それまでは私と王は生きていなければなりません。どんなことをしても」

「……だから、生き残るために?」

「ええ、最後に責任は取ります。

 私達は民を地球に送り出すために何としても生き抜かなくてはなりません。

 そのためには……、兵や民を、時には犠牲にすることも決断しなくてはなりません……」

「……本当はしたくなかった?」

「……ええ。リーリラを送りたくはなかった。

 ジュドーと結婚させてやりたかった。

 でも、王としては、ジェシーとロイは神官に対抗するためにも必要だったの。

 だから、ジュドーと一緒なら、少し早く嫁に出したつもりで……と」

 王妃の声がどんどん小さくなる。

「今更……、何を言っても言い訳になるわね。

 母としてはしたくなかった。裏庭への子ども達を犠牲にしろという話もそうよ。

 でも、城を守る王としてはそうせざるをえなかった」

「……王は、きちんと重荷を一緒に持ってくれてるの?」

 私の言葉に王妃は寂しげに微笑んだ。

「あの人は、こんな状況になってしまったのは、自分の代で終わりを迎えるのは、自分のせいだと。

 ずっと病んでしまっているのよ。

 この世界が滅びようとしているのは……、王のせいではないのに」

 私は首を振った。

「例え、魔物に襲われても、子ども達を差し出すことはもうしないで下さい。

 多くの民を救うために王家を守る必要がある……なんて、わかるわけありません。

 結局は民の気持ちを裏切り、遠ざける結果になってる」

「……そうね。

 前回、そして今回のことでよくわかったわ。

 私達、いえ、私は選択をいくつか間違えた。

 でも、私が、王がいるから、神官達は私達を完全に下へ置くことができない」


 うーん、かなりぎりぎりだよな。こちらが弱みを握られてる。いつ、切られるかわかったもんじゃない。

 たぶん、神官側は王家が自滅するのを、あるいは民に愛想をつかされるのを待っているんじゃないだろうか。

 召喚魔法を使って民を助けてもらうためにという理由で、こちらは言うことを聞かなきゃだもんな。

 でも、モーゼのおかげで、地球への転移の道が開けた。

 神官に知られたら妨害が入るだろうけど、希望者から始められないだろうか?

読んで下さり、ありがとうございます。

※オーク→オーガに訂正済み。

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