26 逃走
どうぞよろしくお願いします。
「ハミル婆?」
「足の悪いお婆さんです。ひとり暮らしをされてて。
オーラもマリアも懐いていて……」
「場所は?」
「こっちです!!」
お母さんの案内でハミル婆の家を目指す。
ふたりの家とは反対側という感じだ。私達が通らなかった方。
小さな家に到着すると、家の中におばあちゃんと抱き合って震えている子ども達がいた。
「お母さん! ハラさん!」
オーラがほっとしたような表情を浮かべる。
原さんがハミル婆をおんぶしてくれ、お母さんはマリアを抱っこした。
私はお母さんに付き添い、オーラが声を掛けながら最短ルートを案内してくれるそう。
私達が小さな家を飛び出した時、正門が破られたようで、大きな物が崩れる音、怒号と弓矢がたくさん飛ぶような鋭い風を切る音がたくさん聞こえた。
オーラと原さんはどんどん走って行くが、お母さんはマリアを抱っこしているから、遅い!
「マリア、自分で走れない?」
私は声を掛けるが、ぶるぶる震えている。
無理か。
私は後方をちらりと確認する。
まだオーガは正門の所にいる。今のうちだ。
抱っこされてるマリアの服を掴んで引き揚げるような感じで、お母さんと息を揃えて一緒に走る。
その時、すごい咆哮が聞こえ、マリアが悲鳴を上げてお母さんにしがみついた。
「きゃああああ!! こわいよー! こわいっ!」
私はオーガを振り返る。
オーガがこっちを見ている!?
『本能的に子どもを狙う』
王妃の言葉が頭に響いた。
これは、やばいのでは!?
「走って!!」
私は叫び、マリアが少しでも軽くなるように一緒に抱くようにして移動を開始する。
嫌な地響き。なんでこっちに来るかな!?
私は「このまま走って、足止めします!」と伝えて、お母さんの背中の方へ回ると、追いかけてこようとしているオーガに炎魔法をぶつけた。
勢いのある火球が三発ほどオーガに向かい、身体にぶつかり足止めできてるようだ。
また、オーガの咆哮!
その時、お母さんが膝をついてしまったのが、目の端に見えた。
恐怖に襲われてしまったか!?
ひとりじゃ立ち上がれそうもない!?
その向こうに原さんとライナスが走ってくるのが見えた。
ふたりは助けてもらえるだろう。
ならば、足止めに専念できる!
そこに立ち止まり、また火球をぶつける。
原さんがマリアを抱っこし、ライナスがお母さんをおんぶしようとしている。
オーガの周囲には遠巻きにしながらも兵や騎士達が矢を射かけたり、槍を投げたりしている。
私はオーガに刺さった矢に火がついて燃え上がることをイメージして小さな火球をたくさんぶつけた。
マリア達が中門までたどり着いたのをちらりと確認してから、私も追いかけようとしたのに。
なぜかオーガがこちらに向かって来る。
まるで、私をめがけて進んでこようとしている!?
このまま、中門へ逃げたら、オーガを連れて行くことになるのでは!?
読んで下さり、ありがとうございます。
ずっとブックマークをして下さっている方、ありがとうございます。
すごく励まされていて、完結まで頑張るぞ! とより気持ちが強くなります。
これからもどうぞよろしくお願いします。
※オーク→オーガに訂正済み。




