14 本物のアレクサンドリア?
どうぞよろしくお願いします。
午後3時、私と美咲は支給された制服を身につけ、第三師団本部1階の会議室にいた。他にふたり新人がいる。制服でわかるが私以外は徴兵だ。
師団のトップとして少将という方が挨拶してくれ、中佐を名乗る方が実質的にこの師団を回している方のようで、説明をしてくれた。
思った通り、第三師団はダンジョンの現地に赴いての任務が主であること。
医療班の補充人員として現地に赴任し、最初は予備の第3班で実習などに従事するが、すぐに現場に出ることになるだろうと。
医療資格や経験があると医療士と呼ばれるが、特にない者は衛生士と呼ばれること。
そうか、私は製薬会社の社員だったけど、病院の現場で従事してたことが多いから、医療士なんだろう。
美咲は薬学研究者だけど……、現場で働いた経験がないから……、医療士として、すぐ動けるかはわからないな。一応医療系の上級学校を出ているので、基礎的なことはできるのか?
促されて自己紹介を始めるように言われる。志願の私からだ。
「早瀬アレクサンドリアです」
「え!?」
名前を名乗るなり、新人の女性が声を上げたので黙る。
井狩総班長が「なんで驚いたの?」と聞いてくれた。
20台前半、美咲よりは若そうなその女性は、美咲を見ながら言った。
「私、こちらの方にお会いしたことがあるのですが、その時、早瀬アレクサンドリアと名乗られていたので……。茶色のレンズの眼鏡を掛けられていましたが、この人です」
美咲がギョッとしている。
私は美咲を手で示しながら「早瀬美咲、私の従姉です。今の早瀬家の当主令嬢になります」と紹介した。
「……なんで従妹の名を?」
中佐が言った。
私と美咲が従姉妹同士というのは、師団の方ではもうわかってるか。
美咲がダンマリなので、その女性が説明した。
「私、園遊会で、飲み物をかけられたんです。
笑いながら『あら、ゴメンナサイ』って。
……服の色が被っていたからだと思います。
友人が怒ってくれて、名を訪ねたところ、『早瀬アレクサンドリア』と。
すごい名前だと思って覚えています」
……嫌がらせする時に私のふりをして、私の名を名乗っていたということ!?
だから、仕事で初対面な人達は変な……雰囲気だったのかな?
「私は高校卒業後、すぐに家を出て働いていましたので、政府の園遊会には参加したことがありません」
仕方なく、そう説明する。
「えっ? じゃあ、早瀬家の外国人の母親を持つ前当主の傲慢な令嬢ってのは……。
それを諫めている現当主の令嬢という噂は……、この人の自作自演!?」
その女性は私から視線を美咲に移して叫んだ。
シーンとしてしまい、変な間が……。
中佐が咳払いした。
「まあ、そういう先入観をまっさらにして、ここから見極めればいいだろう」
「え、でも、戦場で命を預け合うのは……」
女性が食い下がるが……。
そうなんだよね。信頼できるかと言ったら、美咲は……。でも……。
私はその女性に「自己紹介をお願いします」と声を掛けた。
読んで下さり、ありがとうございます。




