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15 医療系の人材

どうぞよろしくお願いします。

「……私は黒須寿美子くろすすみこです。高校を卒業した後は家業を手伝っていました」

 黒須……、何か聞いたことがあるような名だ。

 園遊会に参加していたとなると、国の施策に関係のある企業や会社……。

 もうひとりの男性が「クロスのお嬢さんですか!」と言ってから自己紹介してくれた。

「私は山野井誠やまのいまこと、25歳。

 医学生最終学年になったばかりでした」

 上級学校を卒業後さらに医学校へ進学したんだ。

 やはり第三師団の医療班にはそういう人材が……。

 クロス、医療品のクロス!

 包帯とかバンドエイドとか、鋏やメスなどの器具まで扱う衣料品器具の企業だ!


 私達は最後に美咲を見た。

 私が美咲の名前と早瀬家当主の娘とは伝えたが、本人からの説明はまだだったから。

「早瀬美咲、医療系の上級学校を出て、早瀬製薬で薬学の研究者をしています」

 なぜか黒須さんに、あなたより私の方が上よ! と誇示しているかのような……。


 中佐が頷き、話を続けた。


「各自の自己紹介からわかるようにこの第三師団にはダンジョンに赴任し、人命救助の現場に入ります。そのため、すぐに医療士として動ける人材を意識的に集めています。

 黒須衛生士は家業で知識はお持ちでしょう。最初は衛生士としてスタートして頂きますが、すぐに医療士と呼べると思いますよ」

 その言葉に美咲が『どやっ』というような表情をしている。

 私は美咲の方が心配だ……。

 そんなことを考えていると、会議室に封筒を持った人が入って来て、中佐に渡した。

 中佐は封を開け、二枚の紙を取り出し、私を見た。


「早瀬アレクサンドリア医療士。辞令。

 本日、第三師団医療班第3班より、本部付け医療班大岡研究班へ異動を命ず。

 ……まあ、今回おひとりだけの志願隊員だったので、第三師団としては誠に残念ですが……」

 中佐はそう言いながら私に辞令の用紙を渡してくれた。

 私は受け取り「承知いたしました」と告げる。


 美咲が慌てて言った。

「アレク、どこへ行くのよ!?

 私の世話や手伝いをするために同じ班に配属されるとお父様から聞いているわ!」


 そこにいたみんなが『は?』という顔をした。

 私は一度目を伏せてから、美咲をしっかり見て話した。


「……私は美咲の任期を短縮するために志願させられたんだけど。

 もうそれだけで十分じゃない?

 私はこの志願を機会に今の早瀬の家から離れようと思います。

 二年したら、自分で自立して生活していくつもりです」


「あんたは早瀬家のために生かしてるの!

 現当主の家族を守るためよ! 

 外国の血が混じっているけど、ね。

 今まであんたの面倒を見てきたのは早瀬家よ! 恩を仇で返そうというの!」


「……私は高校卒業後に屋敷を出ています。

 早瀬製薬に就職して従業員として働いていました。その頃にはさらに社宅に出て、自分の給料で一人暮らしをしていました。それに、今回二年も不在になるのだから退職して、社宅を引き払うように叔父に言われて……、辞表まで書きました。

 もう今の早瀬家にも早瀬製薬にも関係ありません」


 私が拒絶しているとわかると、美咲は中佐に詰め寄った。

「アレクは私の従妹です。早瀬家の人間なので、当主の娘である私付きにして下さい」


読んで下さり、ありがとうございます。

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