9 夢の記憶
どうぞよろしくお願いします。
ハヤト……、どうしてるかな?
あっちとこっちじゃ、時間の流れが違うんだよな。
地球の方が早く過ぎている。
私を失ったと、守れなかったと……、また気に病んだりしてないだろうか……。
一緒にいると言ったのに。
でも、地球に戻れる可能性はまだまだある。
ネックは召喚や逆召喚には時代の時間の揺れがあることだけど……。
わざとジュドーとリーリラを離したということは、何かしらヒントがあるのかもしれない。
私はいつの間にか寝てしまったようで、久しぶりに母の夢を見ていた。
とても幸せな夢で、父もいた。
私はまだ小さな子どもで、母と父がいて、ギリシャで、公園を散歩していて……。
外から見ているようで、見えてる幼い自分の中にも自分の意識がある、なんか変な感じ。
父が誰かに声を掛けられて、挨拶して立ち話をしている。
母が立ち止まり……。私はそんな母を怪訝に思いながら、小走りで父に近づき足に抱きついた。
父が私を抱きあげてくれる。
ハヤトによく似た男の人だ。
「早瀬大尉の娘さんですね」
あ、この時は大尉だったんだ。
「大岡、君にも子どもがいるんだったな」
「はい、上の子はそろそろ10歳になります。下の子は7歳ですね」
「ずいぶん大きな子がいるんだな!?」
「ははは、まあ、結婚が早かったですからね」
母がようやく近づいてきて、会釈をした。
「私の妻のリーリラだ」
「よろしくお願いします」
母は微笑んだ。
今の私はその微笑みに寂しさと安堵を感じた。
今の私にはわかる。
夢の中の私は父の腕から母の方へ手を伸ばしぎゅっとした。
『リーリラ、泣かないで』と思いながら。
目が覚めて、私は涙を拭った。
幸せだったのに。最後は泣いちゃぅた。
でも、たぶん、これは昔の記憶をもとにした夢なんじゃないだろうか?
私、ハヤトのお父さんと会ってたのか!?
そして、父はハヤトのお父さんのことを知っていた。だから、ハヤトにより目を掛けたのかもしれないな……。
もしかしたら、父は、何かしら、気がついていたのかな?
私は母の気持ちを思った。
生き別れた恋人が子孫を残していた。
生きていたことと他の人との関りを持って幸せでいてくれたんじゃないかと安堵する気持ちと、恋人の人生に自分以外の女性の存在を感じて、寂しく悔しい気持ち……。そういう複雑な感情に母はあの時襲われていたのだろう。
私にもハヤトという大切な存在ができたからこそ、わかる。
ああ、何が正しくて、何がだめなんだろう。
ハヤト……、ハヤト……。
名を心の中で呼ぶほど、悲しくなる。ここにいないことに。
ああ、違う、こんな気持ちになるために、思い出して、呼びかけているんじゃないのに……。
読んで下さり、ありがとうございます。




