8 カミングアウト?
どうぞよろしくお願いします。
「向こうで、地球で神官がしていることは知っているの?」
私の言葉にジェシーは目を逸らした。
うん、わかっていて、でも、逆召喚の力があるのは神官だから従わざるをえないんだな。
ゆっくり説明していく。
「私達としては……、神官がしていることは知っている。
地球人を魔物と同じ位置づけにして、支配しようとしていることも。
ロイはそれに反対して、私達に協力しようとしてくれてる。
そして、私達はカレン、マルス、ジュドーの血を引いた人達を見つけてロイと一緒に戦おうとしていた。
地球の中の日本という国だけの動きだけど、他の国にも呼び掛けることはできるし、たぶん子孫はもっといるよ」
「カレン、マルス、ジュドーの血筋?」
「はい、私の夫はジュドーの曾孫になります」
「え?
リーリラとジュドーは一緒に!?」
「……リーリラとジュドーは、それぞれが地球人と子を成すようにとわざと時代を離されて逆召喚されたみたいですね」
「……それは、約束が違う!」
「こちらでは神官に立ち向かうことはできない?
地球に送り込む魔法が使えるのは神官だけだから?」
ジェシーが悔しそうに唇を噛みしめ俯く。
私は続けて言った。
「神官の中で私達に協力してくれる人はいませんか?」
「……タニアの父なら。
タニアの父は、王家と近く、そのため、神官の職は剥奪されているが……」
「会えますか?」
「タニアの父?」
「はい」
「タニアに聞いてみないと」
「では、聞いて下さい」
「……わかった。私も一緒に行こう」
ジェシーが立ち上がり、部屋を出て行った。
「神官に会ってどうするんですか?」
原さんが心配そうに言った。
「召喚魔法ができれば、神官の言うことをきかなくても済む。
なら、私がその魔法を使えるようになれば?」
原さんが顔を顰めた。
「でも、王や王太子は試してできなかったことなのではないでしょうか?」
確かにあの魔法が得意そうなロイもできなかったみたいだし。
でも……。
「私、できるかもしれない! やってみないとわからない!」
私がきっぱり言うと原さんが苦笑した。
この世界に来てから、魔力というものをすごく感じるようになった。だから、皆実ちゃんのノートで魔法のことがわかって言葉の魔法を使えたり、したんだよね。
リーリラの血?
それとも、皆実ちゃんみたいにこちらに召喚されて、力を発揮する人間の血?
「で……、原さん。
言葉がわかるのはいつカミングアウトしましょうか?
もう人がいるところでは話せないから、かなりストレスというか……」
「ふふっ、ストレスですか!
楽しそうでしたけど?」
「原さん、ひどいなー。
ジェシーだけなら大丈夫だけど、他の人には話し掛けることもできなくなっちゃった」
そうなのだ。通じないとわかっていた時は何とか日本語で話し掛けていたのに、わからない振りをするとなったら、日本語でも魔法でこの世界の言葉に変換されることになっちゃう。この世界の言葉で話せるわかるとばれてしまうことになるため、意味ある言葉をはなせなくなってしまったのだ。
「まあ、その神官に会えたらですかね?」
「そうだね。交渉しなきゃなんだし、じゃあ、そこで、ね」
ジェシーが部屋に戻って来た。
「明日、会える」
「ありがとうございます」
「では、ハラさん、護衛は隣の部屋に。
アレクはおやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
私はジェシーと原さんを送り出し、サンダルを脱いでベッドにごろんと横になった。
読んで下さり、ありがとうございます。




