7 祖父母
どうぞよろしくお願いします。
すぐに原さんとジェシーが戻ってきて、一緒にお茶を飲んだ。
ジェシー以外がいるところで話してしまうと、他の人にも日本語がこちらの言葉になってしまうだろうから、ジェシーの話に相槌を打ったり、短い返事をしたりする。
ドアが急に開いて(こっちの人はノックしないのか?)、年上の男女、たぶん、私の祖父母になる国王夫婦なんだろう、が慌て気味に入ってくる。
私達は立ち上がった。
女性の方が「リーリラ!」と叫んで私の手を取り顔を覗き込んでくる。
「リーリラの娘だそうです。
名前はアレクサンドリア」
ジェシーの説明に二人ははっとした顔をしてから微笑んだ。
「アレク、王と王妃だ。
アレクには祖父母だな」
全然実感がわかない。女性に手を取られたまま、軽くお辞儀をした。
女性が言うことはわかるんだけど、わからない振りをする。
「リーリラは母になり、こんなかわいい娘を!
ぜひこの子を手元で育てたいわ!
イサクと夫婦にするのはどうかしら?」
「母上、アレクはもう結婚しています」
「え? あ、あの男性?」
「いえ、彼はアレクの護衛騎士です。
アレクと彼だけ、ロイと神官のいざこざに巻き込まれて間違いでこちらに来てしまったようです」
「ロイは向こうで元気にやっているのね。
ああ、地球の方々。
あのようなダンジョンを送り込んで申し訳ないとは思っているの。
でもせめて、子ども達だけでも生きられる道を探してやりたかったのよ。
他の世界の人々を犠牲にしてしまったことでしょう……。それは王と私が、命で償います」
命でって、人の命で償えるものじゃない。
私は困ったようにジェシーを見た。
ジェシーが王を見ると王が一歩前に出て、私と原さんに言った。
「地球にダンジョンを送り込むという選択をして本当に申し訳ないと思っている。
ただ、このまま、滅びるのもひとつの道だと思いながら、生きたいと願う子ども達……をなんとか生かせるならばと。
きっと多くの地球の民を巻き込んだのだろう……」
ジェシーが通訳してくれる。ジェシー以外の人の言葉もわかっているんだけど、わからないふり、だもんね。
私は頷いた。
インドとギリシャは街がダンジョンに飲み込まれ、それに巻き込まれた人々、いた場所がダンジョン内になってしまい魔物に襲われた人もいるだろう。被害は甚大だった。
数字だけじゃない。巻き込まれた人、ひとりひとりのことを考えたら……。
自分の子どもを守りたいのに守れなかった人もいただろう……。
でも、私がリーリラの娘だからだろうか。
こちらの世界の気持ちもわかる。
してしまったことはもうなかったことには戻せない。
その後の行動で償っていくしかない。
地球の人間を魔物と同列に貶めて支配しようとするか、一緒に生きていこうとするかで、全然違う。
私と原さんが何も言わないので、王と王妃は肩を落とし「今はしっかり休みなさい。また話をしましょう」と言って部屋を出て行った。
王妃にタニアはついて行き、ジェシーだけになった。
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