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4 言葉の魔法

どうぞよろしくお願いします。

少し長めです。

『私は東京都出身の女子高生、川奈皆実です。18です。

 平成8年7月30日の夏休みに友人達と海へ行ったはずなのに、気がついたら、ここに来てました。

 どうやら、この世界を救ってくれと言われててるみたいだけど、いや、それ、犯罪だからな!

 誘拐は重罪じゃ!! ボケ! アホンダラ!!』


 こんな感じで……、心の叫びというか、この世界への突っ込みというか……。

「いや、最近の子だったようですね。

 召喚される時は指定がないから、様々な年代から呼ばれてしまうのか?」

 原さんが言うが、確かに地球にいればまだ30代ぐらいの女性だよね?

 原さんが言う最近の子とは?

 原さんはもう少し年上よね?

「……なんか読んでもいいんでしょうか? 

 ちょっと罪悪感が……」

 原さんが笑う。

「まあ、隠してあった時点で……、どっちでしょうね。

 でも、残してあったのだから、読んでもらった方が供養になるかもしれませんよ」

 そうか、彼女はもう……。

 私は頷いて、読み進める。


『何この世界、変ことがいっぱいだけど、まあまあ面白い。

 魔法がいろいろあって、そのうちに私もできるようになるかも、らしいし。

 それから、言葉が……。

 過去に私のように来ていた人がいるみたい。

 見せてもらったけど、英語とこれはなんだ、ドイツ? フランス?

 見た目じゃわかんない!

 でも、最初の言葉がボンジュと読めた。たぶんフランス語だろう!

 わかったところでどうなるんだ……。読めるわけじゃないし……。』


 ああ大変そう。

 皆実ちゃん、頑張れ!

 読み進めていくと、前の召喚者で自分の国の言葉の魔法を創り出した人がいるようで、そのメモを探し出し、その仕組みを考えてみたけど、やっぱり難しくてとある。

 その間に皆実ちゃんはやさしくしてくれた王子と恋に落ちて、結婚。

 それはもうラブラブだったみたい。そこは薄目で読み飛ばした。

 だって読んでるこっちが恥ずかしくなる……。

 簡単な会話ならできるようになったこと、子どもを授かったあたりから自分でもわかるくらい魔力が充実してきて、歴代の召喚者のメモを見ると読めたのだとか、つまり地球の言語なら日本語変換できるようになってたみたい。召喚者の記憶の引き継ぎみたいなものかな?

 そこで、前に諦めた言葉の魔法に再び取り組んでみると、こちらの言葉も少しわかるようになってたし、魔法の組み立てから入れるべき言葉がわかるようになっていて、日本語の言葉の魔法完成!! 

 生まれた子どもに日本語でもこの世界の言葉で子守歌を歌ってあげることができて感涙!! と書いてあった。

 で、その魔法のことを書いてくれてたんだけど……。

 あれ、私わかるかも。

 そっか、私は母の魔力の遺伝があり、ダンジョンに来てロイに魔法の手ほどきをしてもらったこともあり、自分の中の魔力がわかるようになってきている段階!?

 私はそのノートを見ながら、日本語と異世界の言葉を通じるようにする言葉の魔法を自分に掛けてみた。

 本棚から取り出した見知らぬ文字で書かれた本のタイトルを見てみる。

『炎魔法の基礎』

 読めた!!

 私は原さんにも言葉の魔法日本語バージョンをかけてあげた。

「どう? 読めます?」

 原さんはびっくりしている。

「読めます! 『炎魔法の基礎』ですよね?」

 ふたりで興奮しているけどひそひそ声で話をし続ける。

 原さんが言った。

「しばらく、言葉がわかったのは隠しておきましょう。

 もう少し、周囲のことを、裏も知りたい」

 私は頷いた。

 確かに、油断してもらっていろいろこっそり聞き取った方が良さそうだ。

「このノート、持ってっちゃっても大丈夫ですかね?」

「ええ、誰も気づいていなかったようです。

 嵌められてた板に埃がすごかったですし」

「それにしてもよく気づきましたね」

「隠されている物を探す時は違和感を探すといいんですよ。この板だけ、下の方の模様が薄くなっていました」

 私は感心しながら、皆実ちゃんのノートを医療士のリュックに突っ込んだ。

読んで下さり、ありがとうございます。

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