3 日本語
どうぞよろしくお願いします。
「ここはロイの世界と考えて良さそうですね。
先ほどのアレクさんの話、たぶんその通りでしょう。
ロイを戻したかったのでしょう。
ロイは魔法も使えるし、敵対すると厄介だと思ったのでしょうね」
原さんが冷静に小さな声で言った。
「原さん、本当に巻き込んでごめんなさい。
でも、原さんが一緒で、ほっとしている自分もいます……」
そうなのだ。ひとりじゃないというのは本当に心強い。
「いえいえ、ロイの魔法陣という言葉にどこかへ連れて行かれるのではと思い、助けられないなら一緒に行ってお守りしようと、自分で決めましたから」
「うう、原さん……」
「で、状況を整理しますと、神官とロイ達王族は考え方が違うようですね。
でも、いろいろな魔法の力を持っていて、召喚魔法などができるのは神官のほうで、今は王族が従っている状態でしょうか」
そうか、召喚は神官しかできない。
なのに王族であるロイやリーリラが地球に実験的に送り込まれている……。
ロイは神官のことを恐れて、反対意見を言うことができなかった。
そもそも地球にと言い出したのは神官だったけ!?
「きっと、助けてくれたジェシーとタニアは王族か近い人物でしょう。
ここは情報を集めてしっかり見極めましょう。
……問題は言葉か」
「……原さん、言葉の魔法というのがあるそうで。
ここに例の日本人の召喚された聖女の資料とかないかな?」
「あってもここの言葉じゃ読めない……。
手書きなら、日本語の可能性も?」
「そう、こっそり探してみない?」
「まあ、時間もありますし、いいでしょう。
でも、静かに、ですね」
原さんも面白そうな表情をした。
私は静かに本棚を見ていき、原さんは部屋の真ん中に立つと、部屋を見回している。
すっと原さんが机の所に行った。
机には横長の飾り板が何枚か嵌め込まれていて、そのうちの一枚を調べている。
原さんがその飾り板の下を押すと板は外れて空間が現れた。
ペンライトでその空間を確認していたが、手を入れ、何かノートのようなものを引っ張り出した。
そして、また飾り板を元に戻す。
私は原さんのところにゆっくり歩いて行くとそのピンクのノートらしきものを覗き込む。
昔から女子に人気のキャラクターのノートだ。
色味的に……、私よりもう少し年上の人達の時のデザインかな?
昔は白と赤とシンプルだったそうだけど、私が知っている時はピンク系が主流になり、最近はまたシンプルだけど大人っぽいデザインになってきてるはず。
日本人の女の子の持ち物っぽい!
でも、200年前とか言ってなかったっけ?
年代が歪むことがあるとか、それかな?
原さんがノートを開くと『異世界召喚って、誘拐ですよね』と最初に日本語で書いてあった。
読んで下さり、ありがとうございます。




