1 召喚ではない
どうぞよろしくお願いします。
第三章が始まりました。
えっと……。
私は立ち上がる。背中の荷物、重っ。
両手を広げ、女性の方を向くと、何も持ってないことを示しながら少し進んでから言った。
「リーリラは私の母です」
女性はびくっとしたけど、踏み止まり私の方を見ている。
悪意はないことは伝わったみたい。
意を決したように何か話し掛けてくれるが、全然聞き取れず。どこの言葉だ?
私はロイに言葉の魔法について詳しく聞いとくんだったー! と思いながら、ロイ達の名前を言ってみることにした。リーリラは聞き取れたしね。
「えーと、カレン、マルス、ジュドー、リーリラ!
リーリラは私の母! ロイ!」
女性はぱっと顔を輝かせて「ロイ! リーリラ!」と答えてくれた。
ロイを知っているとなると、そういうことだよね。
ここはロイがいた世界、母の故郷の世界、なんだろう。
そこへ階段を駆け上がるような足音がして男性がひとり現れた。
ロイに似ている、ということは私にも似ている、はず。
男性は私達を見て「召喚? 日本人?」と言った。
言葉通じる!!
「言葉の魔法できる人!!
はい、日本人です! 私達!
ここはロイやリーリラの世界?」
その男性は少し驚いてたが、女性に何か囁いてからこちらを見た。
「そうです。
あなた方は……? ロイを知っている?」
「私は大岡アレクサンドラ。こちらは原……」
「幸一郎といいます」
原さんの名前知らなかった。続けて名乗ってくれて良かった。
「あの……、ロイと一緒にダンジョンの中にいて、地面が魔法陣で光ったと思ったら、私と原さんがここにいました。
私の母はリーリラです。なので、ロイからこの世界のことは少し聞いていて……」
「リーリラ!?
リーリラの娘!?」
男性は慌てたように女性に何か言うと、女性がぱっと私を見て、ふたりはこちらに来てくれた。
女性が私の手を取り「リーリラ……」と涙ぐむような感じで言った。
「私の妻のタニアです。
私はリーリラとロイの兄でジェシーです」
「えっ、では、あなたも私の伯父さんになる!?」
「そうですね。リーリラの娘なら姪ですね」
「……私達はなんでここに?」
ジェシーは周囲を見回し「召喚ではないですね。向こうで魔法陣が光った?」と聞いてきた。
「はい」
「なら……、逆召喚でしょうか。
向こうに神官は?」
「えっと、ロイと神官は考え方がその、違って、私達と一緒にいて。
神官を追っているところでした……」
「考え方が違う?」
「はい、ロイは神官が地球の人間にひどいことをしようとするのを防ごうとしてくれて、大怪我をしてしまったんです。その時から、私達と一緒に行動していて……」
あ?
もしかして、考え方が違うロイをこっちに戻そうとしたのかな?
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