57 呼び名
どうぞよろしくお願いします。
そんなわけで第三師団のハヤトの部屋にロイが転がり込んでいて、私は変わらず黒須ちゃんと二人部屋だ。本当の新婚なのに……。
「ロイさん!」
黒須ちゃんと一緒に病院へ行こうとしている時、ロイに出会った。
ロイが笑顔で手を振り「スミ!」と呼び返している。
ロイは結局、私の身内で、アラスカに元からいたらしいみたいな話になっている。
爆弾騒ぎに巻き込まれたのも、爆弾を仕掛けるところを見てしまい、何とかしようと近づいてしまったということになっている。まあ、これはほぼ本当のことなんだけどね。
ロイがここにいると神官達が狙って来るのではと考えていたが、今のところ、それはない。
ロイとハヤトが言うにはダンジョンで接触しようとして来るかもしれないということだ。
ダンジョンに入ってしまえば、当番の防衛隊しかいない。そして、神官達はダンジョンの中で無事に過せる魔法の力を持っている。
フランスからの申し送りには、私は日本国籍があり、早瀬冬馬の娘であり、現在は結婚をして大岡アレクサンドリアとなっていることを伝えたそう。
その時、別に早瀬ファイルの続きの研究を各国の研究者と合同で行うプロジェクトが立ち上がっていると伝えたそう。
ぜひ参加したいという返事が戻ってきて……。私の国籍問題についてのさらなる申し送りはないそうだ。
あはは、研究の方で関われるようにおとなしくしたという感じなのかな?
美咲は、どうなったんだろう。
スマホの方はフランス防衛隊に美咲のことを申し送りした時からメッセージや伝言が激減した。様子を見ているんだろう。
日本防衛隊はさらに早瀬美咲医療士が行方不明になっていることを公表し、各国の防衛隊にも情報を求むとした。
フランスへは一度問い合わせというか申し送りをしているし、それに対しての返答がないんだから、情報をさらに外へ求めるのは然るべきことだよ、ね。
引き継ぎの2日間、私と黒須ちゃんとロイは特別シフトで病院に待機ということになった。
山野井くんが、なんかロイを気にしている。
そりゃね。
ロイってば、なんか女性の扱いが上手いというか、余裕があるというか、スマートっていうか。
人に対して距離を詰めるのが早いかも。
日本人にしてみるとそういうところは外国人っぽいというか。
母もそうだったけれど、ロイもアジアとヨーロッパの混血というか、全くの外国人って顔じゃないんだよね。
ジュドーは黒髪に黒目だったらしいし。
ロイからもそこまで日本人に違和感がないらしい。というかそれは個人差なのかもしれないけれど。
言葉も上手だし。
これは地球から向こうの世界に召喚された『新世界人』達が作り上げてきた言葉の魔法があるそうで。
新世界の主要な言語である英語、中国語、スペイン語、フランス語、日本語あたりは理解できるし話せるらしい。
日本語が主要な言語に入ってるのがおかしいけれど、例の最後のすごく魔法ができるようになった少女が日本人だったそうだ。
魔法でわかるなんて、すごく羨ましい……。
黒須ちゃんとも仲良くなって、ちゃっかり『スミ』なんて名前の愛称で呼んでるし。
一度ロイに注意したんだけど「親しくなったら、特別な名で呼び合うのだろう」とか言われちゃって。
特別!?
慌てて黒須ちゃんに聞いたら、お兄さんみたいと言っていた。
まあ、私の『アレク』と『リア』の愛称の使い分け? もあるからな……。
読んで下さり、ありがとうございます。




