55 当番月の準備
どうぞよろしくお願いします。
「いい剣だな」
ロイが第三師団の対ダンジョン用の武器の収蔵室で、剣を手に取りながら言った。
「魔物を焼却した灰を練り込んだ金属で作られている。
これなら魔物をよく斬れる。この材質でボウガンの矢じりや銃の弾も作っている」
ハヤトが説明をしていく。
「ボウガン?」
「これだ」
「ああ、弓か。これは連射できるのか!
それと……、銃というのは小さいな?」
「ここに弾を込めて、火薬、爆発する物質を利用して、強い力で撃ち出す」
「ああ、あの爆弾って奴だな」
ロイは爆弾の爆風に巻き込まれたわけで、あの時は人を傷つけて大騒ぎを起こすと聞いて、その爆弾を仕掛けた神官の後をつけ、何か邪魔できないかとしようとしたら巻き込まれたということだった。
あの時のことを思い出したようで苦笑している。
明日から当番月に入る。
最初の2日間は前の当番のイギリスから引き継ぎを受けるそうだ。
共同研究はまず亮さんに声を掛けることにした。
亮さんと早乙女中尉が話合ってさらに声を掛ける研究者を選んでいるという話だ。
愛理さんも立ち上げをしてくれているそう。
ロイの話はまだ内緒にしている。
ここで公表してしまうとロイや私、それに『新人類』として頭角を現している人達が、一気に異世界からの侵略者ということにも取られかねない。原隊員と私達の間で、しばらく留めて様子を見ることにした。
そこでロイは身元不明者ということで日本防衛隊の第三師団に保護され、ロイの希望で臨時隊員のような形になった。
仮の日本の戸籍も作ったそう。
早瀬ロイ。
ロイは私の父の姓を使わせて欲しいと言った。
なので、なんとなく私の父と何かしら関係があり、私の兄のような人と周囲には思ってもらえているようだ。
私と外見も似ているところがあるからね。
瞳の色は同じで、髪も私と同じような薄い茶色だ。ロイの方がさらに天パっぽいけど。
「ロイ、本当にハヤトとダンジョンに行くの?」
私は心配そうに聞いたが、ロイは自信がありそうな感じで笑う。
「私ほど魔物にくわしい者はいないだろう!
それに、私は魔法が使える」
うん、それは見せてもらった。
病室で話を聞いてから、すぐに動けるようになったロイにダンジョンでの戦いのことを聞かれた。父が亡くなったことをハヤトが話したからね……。
そして当番月のことを聞いたロイは、自分もダンジョンに入ると言い出したのだ。
武術の腕も確かだった。しかも魔法も使えて、戦力ではある。
ハヤトや原さん、小野田さんに井狩総班長もその実力を見て頷くしかなかった。
でも、ロイは地球の薬が効きにくい。
なので、私はロイに何かあったらすぐに駆け付けられるようそばにいることになった。
まあ、ハヤトのそばにいられるってことだから、それは良かったのだけれど……。
「この弾って奴、貰えるか?
これなら、魔法で撃ち出すことができそうだ」
「そんな使い方が!?」
ロイとハヤトで楽しそうに話している。
読んで下さり、ありがとうございます。




