53 長い夜(2)
どうぞよろしくお願いします。
すいません、長いです。
ロイが話を続ける。
少し辛そうな感じにも見える。
でも、話を聞きたい。
「……逆召喚の歪みで、ジュドーとリーリラは離れ離れになってしまったようだな……。
いや、混血を促すために、神官達が敢えてそうなるように操作したのかもしれない。
ふたりは年代的に離されてしまったようだ。
君は……ジュドーに似ている気がする」
ロイがハヤトを見つめて寂しげに微笑んだ。
「で、最後にロイが?」
私は話を進めた。
「最後ではないかもしれない。私も行くとなった時、カレンとマルスとジュドーがすでに亡くなっているのはわかった。リーリラは生きていて、ダンジョンが破壊されると同時に、また新しいダンジョンが生まれた。
『新世界』で私達が生きられる場所が増えていることの確認をしなくてはならなかった。それで神官と……」
ん?
時間の流れがおかしいのか?
あっちの世界と地球で時間の進みがずれてる?
地球の方が進みが早い?
「私が来たのは、こちらの時の流れだと、月が6回ほど前になるかな。
先に来ていた神官達もいた。
王族に黙って儀式を行っていたのだろう……。
そして『新世界』の人間を以前から観察していた。
人間には魔力がない。
ゆえに魔物と交配することもできる。
それを知った神官は『新世界』の人間は、魔物と同等の下等民だと。
我々が『新世界』に新たな王国を創ろうと……」
え?
私達の表情を見て、ロイは下を向いた。
「すまん。反対したかったが、今、表明したら、私は殺されてしまうだろう。
邪魔するにはどうするか。
カレン、マルス、ジュドー、リーリラの血を引く者達を探そうと思った。
『新世界』いや、地球にはDEというという考えを持つ者達も現れ、神官達はそちらに関り、地球の人間を魔物として貶める作戦に出たらしい。
つまり、力を得るため、進化といったか、そのために魔物と……」
「ちょっと待って!
王族の五人以外にも来ている!?」
「……私と一緒に二人来て、その前に来ていた者も複数いた……」
ハヤトが険しい顔で言った。
「つまり、神官一派がいて、暗躍していると。
あなたはそれに反対の立場だが、協力できる王族の子孫を探し出せず、神官達に従うふりをして様子を見ていた。
そして、早瀬アレクサンドリアのことが噂になり、どうやら、王族の血を引く者ではないかと、DEが狙っていることに気づき、それを邪魔しようとして……。
街の爆発物のことは?」
ロイが辛そうな顔をした。
かなり無理をさせてしまっている。私はベッドの角度を戻し、横にならせる。
「今日はこれぐらいに、もう休んで下さい」
私の言葉にハヤトが申し訳なさそうに言う。
「ひとつだけ聞きたい。
ロイ達の前に神官は何人来ている?」
ロイはため息をついて答える。
「申し訳ない、全員はわからない。
私がわかるのは一緒に来た者を含めて四人だろうか。それ以上の可能性もある」
「神官には魔物から身を守る術のようなものがある?
ダンジョンの中で身を隠して安全に行動できるような?」
「……ある。
魔物に気づかれないような身を守る魔法がある。
神官ならば使えるはずだ」
「わかりました……。
一年半ほど前、リーリラの夫で、リアの父親の早瀬冬馬が魔物の襲撃で傷つけられ亡くなる戦いがありました。
その時、人のような魔物を見た。
こちらをじっと見ているような。
それが神官達だったのかもしれない」
ハヤトが言いながらきゅっと手を膝の上で握りしめた。
思い出している!?
私は思わずハヤトの頭を胸にぎゅっと抱きしめた。
「もう苦しまないで」
「ああ……、でも、早瀬中佐の仇を取れるかと思うと、俺は……うれしい」
「ハヤト、だめ。
そういう気持ちはやめて。
判断を誤りやすくする」
「……アレクはハヤトと結婚の約束をしているのか?」
ロイが言った。
「私達は」
私がそう言いかけるとハヤトが追いかけてくるように言った。
「結婚してます。もう妻で、夫です」
ロイが笑った。
「良かった。
ジュドーとリーリラは婚約してたんだ。
ここで、きちんと結ばれたんだな」
読んで下さり、ありがとうございます。
今日の午後投稿はお休みします。




