52 長い夜(1)
どうぞよろしくお願いします。
すいません、ちょい長めです。
井狩総班長は戻り、私とハヤトはロイから話を聞くことにした。
原隊員にもいてもらう。
「ロイさん、リーリラとジュドー以外にこちらに来ている人はいますか?」
「カレン、マルス。王族は全部で五人だ」
リーリラとジュドーとロイか。
「王族の5人が『新世界』で生きていけるように、ダンジョンをまず、地球に、この世界に送り込んだ?」
私の質問に原隊員がびっくりした表情をしているのがちらっと見えた。
「……最初はそうではなかった。
本当は『新世界』から『新しい血』を召喚するための儀式だったんだ」
『新世界』から召喚!?
「こちらの人間を召喚って!?
誘拐じゃないですか!」
「……私達の世界を救ってもらうために。
ただ、我々の世界はもう滅亡が近い」
断片的に聞き取った話をまとめてみると、ロイの世界は人間も魔法などの不思議な力を持ち、ダンジョンの中や森や海に普通に魔物がいる世界なのだそう。
ここ100年ほど前から自然災害が増え、人間の住める土地が激減し、人口も減少している。
以前は魔物を抑えて生活できていたのが、だんだん恐れて暮らすしかなくなり……。
強い魔法が使える者がなんとか生き残っているという感じなのだそう。
魔法使い=神官が王族よりも力を持つようになり、『新しい血』を王族に迎えるため『新世界』より人間を召喚していたという儀式を提案された。
最後の召喚は250年ほど前。
ひとりの少女が召喚されて、王族に嫁ぎ、子をひとり産んだ。
魔力も何もないただの無力な少女。
王族に嫁ぎ、子を成したあたりから魔力に目覚め、夫である王子を支えて魔物を退治したり、怪我を治したりできるほど強くなり、魔法について研究するほどになったのだそう。
それを今回も、ということになったらしい。
しかし、ロイの世界はもう確実に住みにくくなっていて、ひとりの人間が来たとしても……となったそう。
それならば『新世界』にみんなで移住できないかという意見が出て……。
『新世界』からの召喚はできた。
召喚されてくる人間は魔力を持たずに生きていられる。
だが、ロイ達は魔力がないと生きられない。
魔力は空気や土地やこの世界の人間に巡っているもので、地球にはない。
ロイ達の世界の人間は生きていくのに魔力が必要だった。
250年前の召喚された少女はその後、偉大な魔法使いになり、様々な研究をし文書を残した。
魔力の発生源としてダンジョンがあること。
だからダンジョンの中や周辺では魔力が発生し循環している。
なら、ダンジョンのそばならば、生きられる。
ダンジョンを『新世界』に逆召喚させ、地球に送り込むことにした。
王家が秘蔵していた『ダンジョンコア』をだ。
「そんな!
インドではダンジョンのせいで一夜のうちに大きな街が消えたのですよ!
住民を巻き込んで!!」
私は喘ぐように言った。
「こちらも必死だった。
王族の中にはこのまま終焉をひっそりと迎えるのもひとつの道だと、そういう意見もあったんだが……」
「つまり、神官達に従うしかなくなった王族が、責任を持って『新世界』に行って生きていることができるか、という実験が続いたのですね?」
ハヤトの言葉にロイが頷いた。
「まず、カレンとマルス。
何故、王族が選ばれたかと言うと、王族には生死の石という絆を示す石があり、生死を追うことができる。
ふたりは生きていた。
そして、ダンジョンのコアが破壊されたが、ダンジョンは地球に根付いていて、新たなダンジョンが自然発生したことが感知できた。過去にダンジョンが発生した場所なら、魔力の放出があるはずだ。
現に、カレンとマルスは生きていた」
「次のギリシャ?
それは地球が魔力のある世界に順調に変化しているということ?」
「そう、カレンとマルスが適応して子孫を増やせているということでもある。
そこで神官達はさらにリーリラとジュドーを逆召喚した」
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