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49 思い込み

どうぞよろしくお願いします。

「検死、その後は火葬だが……。普通に火葬の許可が出るかはわからない。

 なにしろ魔物と……」

 ハヤトが口を濁した。

「うん、そうだよね。

 普通の亡くなった人とは違う。

 フランスの自分を焼き殺してしまったという女性の話を聞いて思った。

 でも、武井先生は魔物の部分はなくなっているんだけどな。

 今まで戦死した人で魔物の影響を受けた人の遺体はどうして?」

「問題がなければ火葬に。

 火に弱い魔物もいるからね。

 その魔物の種類がよくわからなかったり、毒に侵されていたりすると、火葬時に何かあったらと、保存ということも……」

「保存?」

 ふと父のことが頭に浮かぶ。

 私の表情が強張ったことにハヤトが息を飲んだ。

「リア、知らなかったのか?」

「……父の遺体は、まだ保存されている!?」


 父が亡くなった連絡が来た時、届けられたのは遺髪だけで。

 遺体はすぐに日本に運べず、現地で火葬できたら骨をという話を聞いた。

 その後、私は家を出てしまったので。

 遺体の保存と言えば、冷凍だろう。 

 父が冷凍されてる様を想像してしまった私は慌てて立ち上がり、ふらついた。

 ハヤトが抱き支えてくれる。

 身体が冷える感覚が、頭の上から。

 力が抜けて……。


「気を張ってたのか?」

 遠くでハヤトの声がした気がしたけど、私は身体の重さに沈み込むように眠りに引きずり込まれた。



 眼が覚めたら病室っぽい。

 寝ながら頭を動かして周囲を見るとロイの病室のようだ。

 移動できるベッドを入れて、私が寝ていた状態らしい。

 原隊員が部屋にいた。

「原さん……」

 私の声に原隊員が気づいて、来てくれた。


「大丈夫ですかっと。いえ、必要なものは?」

「ありがとう。お水を貰えますか?」

 コップに水を満たして準備してくれたので、私は上半身を起こし飲み干した。

 はー、落ち着いた。


 たぶん、力の使い過ぎ。

 武井先生とロイ。いきなりフルパワー状態で使ったらどうなるのかもわからないのに使い過ぎた。

 なんとなくできちゃったくらいで、怖くてやめていたのに。

 いきなり、こうしたい、治すんだ! っと夢中で、自分に無理をさせ過ぎた気がする。

 そこへ、武井先生の検死の話と父の遺体がまだここに冷凍保存されてることを知って、感情や頭の方もキャパオーバーになったのだろう。

 ああ……。

「ハ、大岡大尉は武井先生の検死の方に?

 私、何時間ぐらい……」

「はい、別の病室ということも考えたのですが、そうすると私ひとりでは見張りも護衛もできずになりますし。

 同じ部屋で休んでもらうことになりました。

 あれから、2時間経っています」

「ありがとうございます。

 目が覚めた時、原さんがいて安心しました」

 ロイのベッドのの方を見る。

「ロイはどうですか?」

「一度目が覚めて、ゼリー状の飲料を少しだけ摂りました。

 また、眠っています」

「経口で水分摂取できたのなら良かった」

 順調に回復してるんだな、良かったよ。


「先程の話、すみません、聞こえてしまったのですが……。

 早瀬中佐の……」


 ああ、私は情けなく思いながら説明した。

「私、父が戦死して、その後すぐ高校を卒業して早瀬家を出たんです。

 だから、父の遺髪だけが届けられ、遺体や遺骨はゆっくり戻ってくると聞いていたので、もう、日本に戻っていて、墓に納められていると思い込んでいました……。

 まだ、ここに、たぶん病院ですよね……。ここにいると聞いて思ってもみなくて……」

読んで下さり、ありがとうございます。

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