48 王族?
どうぞよろしくお願いします。
医師が医療士を呼んでくれて、その医療士と私で男性を通常病室に移す準備をすることができた。
一応、まだわからないことが多いし、まだまだ目を離せないので、広めの個室にしてもらった。
身元もわからないし、もしかしたらこの世界の人ではないかもしれないし。
私とハヤトとベッドで眠る彼を見守る。
原隊員は医療士と一緒に彼が食べられそうな、ずっと経口で食べていないわけだから、口にしやすいゼリー状の飲料など取りに行ってくれている。
背中の皮膚が薄いのが気になるが……。
ハヤトに相談したら「それは皮膚が厚くなるとか周囲の皮膚と同じ感じになるのをイメージしたらいいんじゃないか?」と言われた。
なるほど、自分の小さな時の擦り傷のことを思い出す。
母が治療してくれた時、皮膚がピンクっぽくて薄いなんてことはなかった。
私は彼の手を握り、手首のあたりの皮膚の状態を見ながら、先ほどのまだ薄い皮膚がこれくらいの状態になるようにと念じてみた。
男性が目を開けた。
「お名前、教えて下さい」
私の呼びかけに「ロイ」と答えてくれた。
「ロイ、リーリラのことを知っている?」
「リーリラ、私の、妹」
ん?
年齢的におかしい。
母が生きていたら、この人より確実に年上のはず!?
「ジュドーは?」
ハヤトが聞く。
「ジュドー、同い年のいとこ。弟の、ような」
れ?
なんとなく、ハヤトのおばあちゃんか、その先につながる人? と思ったけれど……。
私とハヤトの微妙な雰囲気に気づいたらしいロイがふっと笑った。
「送り込む時……、時間がずれることが、ある」
「送り込む? リーリラはどこから送り込まれたの?」
「……私達の世界から。
王族が新世界に、……召喚ではなく、反対に……」
疲れたのだろう。ロイがため息をついて、目を閉じた。
また眠ってしまったようだ。
「この調子じゃ、いろいろ聞き出すのに時間が掛かりそうだ」
ハヤトが困ったように言った。
王族。送り込む、召喚の反対。新世界……。
「向こうにしてみればこちらが『新世界』ということになるのですね……」
「ロイとやらの話からすると、ジュドーが俺の祖母の父あたりになるのか?
似ているのか?
そしてリーリラが、リアの母。
そして、最近ロイが来た?」
「他にも来ているかも?」
「王族ってそんなにいるのか?」
思わずハヤトと顔を見合わせ、困ってしまう。
そうだよね。
日本だと少ない。
でも、イギリスとか、他の国では?
まあどこまで王族になるのかという問題もあるし。
この世界の私達の知識では、向こうの世界が想像できているかすら怪しい。
その時、原隊員が戻って来た。ゼリー飲料やゼリー状の食べ物、私達も部屋にいるために必要だと水や簡易食など貰ってきてくれたそう。
「患者はどうですか?」
「少し話しができたんだが、また眠ってしまった」
ハヤトがため息をつく。
「もっと詳しく話を聞かないと、制度とかも違いそうだしね」
私の言葉にハヤトが頷いた。
そして、少し言いにくそうに言った。
「……武井の検死がこれから行われる。
最後に会うなら、今しかない。どうする?」
私は迷った。
「……検死の後、どうなるの?」
読んで下さり、ありがとうございます。




