44 申し送り
どうぞよろしくお願いします。
なんだかみんなしーんとしてしまうが、愛理さんが面白そうな表情になり「続けて」と言った。
敏夫は気を取り直したように話し出す。
「DEとか爆発事件とか、本当はアレクを呼び出したかったのだろうということはわかっているけれど。
美咲に関する事実として、元フランス防衛隊のピエールが、日本防衛隊の早瀬医療士を呼び出して……、駆け落ちしたってことでは?」
私もなんとなくわかった。
「そうだよ!
結婚の話を美咲はしてたそうだし!
もし、日本街で、逆のトラブルがあったら?
フランス防衛隊の女性が日本街の男性の所に行ってしまい仕事放棄したら、日本防衛隊にフランス防衛隊は連絡を入れるんじゃない?」
井狩総班長が苦笑した。
「まあ、言われてみればそうね。
私達……、防衛隊を日本の体面を守るとか他の国とトラブルを起こさないようにとか、考えてばかりだったかもしれない」
「まあ、しょうがない。
国同士の関係は需要だ」
ハヤトが言って。
「……だから、武井先生のことも公表できないの?
日本が、日本人が防衛隊と関わって起こした不祥事だから?
でも、この間違いを正しいものとして進んでいる国があったら……。
これから先、同じような人体実験が、どこかで……」
私の呟きのような言葉に井狩総班長とハヤトが顔を見合わせたのがわかった。
「……早瀬ファイルの続きというか補足を出そう。
リアの名で出せばいい。オレは協力する」
「……日本だけじゃなく、違う国の研究者も一緒に研究できれば、もっといろいろな人に、国に届くだろうか?」
「でも、それは今じゃない」
早乙女中尉が言った。
「これからのことだよ」
井狩総班長が頷いた。
「ええ、今は当番月を新体制で無事に乗り切ることが何よりの、何をおいても一番にやり遂げなくてはならないことです」
そして、私を見る。
「フランス防衛隊にはフランス街の治安、防衛隊医療士に対する接触と仕事放棄を唆したということで報告と相談という形で申し送りをしましょう」
私は頷いた。
その結果、もし美咲がフランスへ移るということになっても、むしろかまわない。
前例もあることだし。まあ当番、というか徴兵逃れっぽくはあるけれど、フランス人になるというならしょうがない。
井狩総班長と早乙女中尉と早乙女少尉(愛理さんね)で、フランス防衛隊へ送る文書を作成するとこになった。
私とハヤトはこの後病院へ行くことを確認する。
あの火傷をしている男性を治療しなくては。
もし本当に母や私と同じならば培養液での治療は難しいだろう。
火傷の傷を覆い、痛みを和らげるぐらいしか効果がないかもしれない。
それなら、私のこの力で治療して、話を聞くのが一番だ。
武井先生の検死もある……。もし後に発表するのであれば、きちんと資料として残さないといけない。
読んで下さり、ありがとうございます。




