43 できる男
どうぞよろしくお願いします。
宿舎から事務室やエントランスのある方へ歩いて行きながら「これもアレクちゃん効果!」と愛理さんが言った。
「私の効果って何ですか?」
「いや、ラブラブの力?」
「なんですか、それ?」
「好きな人がいるって、それだけで力になるからねー」
「まあ、それは、はい」
黒須ちゃんと山野井くん、いいと思うけど。
黒須ちゃんは年上なのにかわいい感じだし、山野井くんも年上だけど、少し童顔で、優しくて穏やかそうに見えるんだけど、本当はすごく頼りになるんだよね。真面目だし。
でも、小野田さんも黒須ちゃんのこと気にしてたような……。いや、亮さんもいたよな。連絡先交換してたし!
黒須ちゃんもてもて!?
井狩総班長の事務室というか、いつもの部屋を訪ねると井狩総班長と牧野医療士と早乙女中尉と敏夫がいた。
どうやら第三師団の事務の方に敏夫が入るって……。
敏夫は防衛隊に志願して、まだ二週間とかじゃないの!?
私がびっくりしていると敏夫が言った。
「アレク? 不満そうだな?」
「不満じゃなくて……。
まだ防衛隊に志願して間もないんじゃない?
まあ、私もそうだけど。仕事は医療技師の仕事内容も含まれてるから何とかできてるけどさ」
早乙女中尉が笑った。
「ははっ、仕事ができるのかという不安か!
竹中はすごいよ。さすが早瀬製薬の表側を仕切っていただけのことはある」
「ひとりで?
いつも秘書がいたじゃない?
敏夫が何かしようとするとアドバイスというかなんか敏夫に小さな声で言ってたよね?」
敏夫も笑う。
「ああ、あれは……。
仕事の補佐というより、見張りだったんだよ。
スケジュール管理みたいな面もあったのかな……。裏の仕事に気づかせないようにってね。
それにアレクと関わろうとするのを見張っていたらしい。
まあ、社長と美咲の指示だろうけどね」
「じゃ、敏夫は本当に仕事で有能なの!?」
「なんだよその言い方。
そうだよ! 俺は仕事ができる男だ!」
敏夫が自信満々に宣言するから、笑ってしまった。
井狩総班長がまとめて確認してくれた。
「とりあえず、今は私が大岡大尉の補佐をします。
竹中隊員と牧野医療士が全体の事務や運営を回してもらいます。
早乙女中尉は本部で調査に当たられるでしょうし。
早瀬医療士の件はどうしましょうか?」
「ピエールと一緒にいることはわかっているが……」
早乙女中尉が呟くと敏夫が言った。
「とりあえず、フランスの防衛隊に訴えておいた方がいいんじゃないですか?
元フランス防衛隊所属の民間人であるピエールとやらに呼び出され、日本の防衛隊の女性医療士がいなくなったと……」
読んで下さり、ありがとうございます。




