11 進化の考察
どうぞよろしくお願いします。
父はギリシャダンジョンでの経験を買われ、ダンジョン探索研究と戦闘のベテランということで、本部付ながらよくあちこちに派遣されていた。
インドやギリシャの跡地の視察調査などにも行っていて……。
美咲が怒って私を傷つけた時のワンピースはインドの薄い綿布を使ったワンピースだった。
アラスカのダンジョンは規模も大きく。それだけ人材が必要だった。
放って置くわけにはいかない。魔物が外へ溢れ出すことは防がなくてはならない。
そのため、各国で定期的に人材を出し合っているのだが……。日本は希望する者が少なすぎた。
それはそうだ。
インド、ギリシャ、アラスカ……。遠い世界の話になってしまっていて、日本での日常生活にはあまり影響がないのだから。
研究者はともかく、魔物と戦う軍人という職業を選ぶ者は少ない。
そこで日本政府はダンジョン対策として15年前から当番制という名の徴兵制を行っている。
18歳から30歳までの間、どこか一年間勤務……兵役に就くということ。
志願制もあるのだが人数は少なく、毎年一定数の人数を確保するための徴兵。
美咲は今21歳で、その当番に当たってしまったのだ。
徴兵を逃れることはできないが、短縮することはできる。
それが追加で志願者(二年間)を出すことだ。
私が志願者として美咲に紐づく形で名を出されたのも、美咲の兵役を短縮するため。
当番も志願も兵役終わりに希望すれば防衛隊員、つまり軍人や研究所付きの研究者として勤めることができる。
父は製薬会社の跡取りで研究者でもあった。
徴兵はまだなかったが、その頃、インドやギリシャのダンジョンで魔物の素材が新たな製薬に繋がったことが何度もあったそう。
それもあり、自分の研究のために最初は志願したのだそう。
戦いの中で四肢を欠損する仲間を見て、再生医療の重要性を改めて感じ、魔物の身体の再生にヒントを得て、培養液の開発、技術を研究していた。
美咲は高校卒業後、医療の上級学校に2年通ってから、家業の製薬会社に就職した。
私も上級学校に行く予定だったのだが、父が高校卒業直前にアラスカダンジョンで亡くなり、高校卒業までは面倒を見てやるが、上級学校は諦め、会社に就職するように言われた。すぐ本家の屋敷から離れに出され、美咲と同時期に入社した。
美咲は薬学研究者となり、会社の研究所にいることが多く、私は実際に病院の現場で実際に治療に当たりながら技術や理論を身につけていった。
高校生の頃から父に医療現場に同行させてもらっていたので、そこまで戸惑うことはなかったけれど、生活面では離れを出て社宅でひとり暮らしをするように言われ、今に至るわけだ。
父はダンジョンは進化をもたらすものなのかもしれないとよく言っていた。
人類の進化の転換期ではないかと。
ダンジョンの魔物には不思議な未知の力を使うものがいるそうだ。
父が持ち帰った素材からも研究が始まっていて……。
でも、魔物が素材となると安全性やまあ、気持ち的にもね。
そこで分析して、地球上にある素材を利用して近いものを作り出すことはできている。
現在、会社ではそれを作り、培養液として使っているわけだが……。
亡くなる少し前、父は人類の進化がすでに始まっていると思うと話していた。
ダンジョンの影響を受けて進化した者がいると。
私もそのひとりだと。
確かに私が父と一緒に治療に当たった患者の欠損肢の再生は成功していることが多い。
同じ液や薬を使っているのに、成功率に差がある。
そして、戦いの場においても、人間離れした行動を見せる者が現れていると……。
読んで下さり、ありがとうございます。




