35 言うの忘れてた!
どうぞよろしくお願いします。
目が覚めた。ハヤトがいる。私は不思議な気持ちになった。
最初の……、東京での……、なんか思い出した。
あの時は起こさないようにそっと部屋を出て行ったけれど、今はもうそんなことをしないでいい。
なんだかじっとハヤトの寝顔を見ていたら、ハヤトが目を開けた。
「……いつから見てたの?」
「少し前から」
私はハヤトの肌におでこを押し付けるみたいにして「ふふふっ」と笑った。
「リア、ありがとう」
なんの?
私の表情に微笑んだハヤト。
「俺の手を取って、ずっと一緒にいてくれて」
「ああ……、私も、見つけてくれてありがとう」
「うん。
今何時だろ?」
時計を見たハヤトが「5時か。もう少しごろごろしてる?」と言った。
「うん」
私がまた布団に軽く潜るように横になると、ハヤトも横になり、目を閉じたと思ったら、いたずらっぽくこちらを見て手を伸ばして抱きしめてくる。
「あ!」
私の声にハヤトが目を見開いて「何!?」と言う。
「話すの忘れてた!!
再生保存治療室の身元不明の男性!」
「……気になるって言ってた?」
「あの人……。
私と同じ、母と同じ青い目なの。
もしかしたら、母と同じような……人かも」
ハヤトがびっくりしたように起き上がる。
「目を開けた?」
「私が治療室にひとりの時、こっちを見てた。
ハヤトとふたりきりの時に言わなきゃと思ってて……。
ごめん、母のこともあって、その言いそびれたというか、忘れてたというか……」
「あ……、そうだよな。
昨夜の、あの後……、そんな雰囲気で……」
なんだかもうすっかり目が覚めてしまった。
「とりあえず、起きよか」
私も半身を起こすが、寒いっ!
「風呂溜めて来る。ゆっくりしてて」
ハヤトが風呂へ行き、少しして戻って来た。
ベッドに滑りこんできてひんやりした身体と腕で抱きしめてくる。
「あったかい……。
今日の仕事は?」
「監視塔。夜番ね」
「日中は宿舎待機?」
「うん、朝、第三師団に戻るよ」
「はあ……。帰したくない……。
今日、タイミングを見て、タケイクリニックと第三師団に行く」
「第三師団も?」
「小池大佐が早瀬秋馬と結託して、リアに対して志願の強要、休暇の権利、社会的身分の保持、そういうことの違反を見逃し、特例として指示していたのははっきりした。企業との癒着ということもある。
それでとりあえず押さえることができる」
私は頷いた。
「それから……、培養液や父が亡くなった時の戦闘への指示とか……」
「うん、何があったのか、詰める」
「……よろしくお願いします」
「……リアも来るか?」
「え?」
ハヤトが微笑んだ。
「武井先生……、話をしてみたいだろ?」
読んで下さり、ありがとうございます。




