34 人間として生きる
どうぞよろしくお願いします。
ハヤトが抱きしめてくれて幸せなのに……。
でも、きちんと聞かなくてはいけない。
「ハヤトは……、もう人間の部分が多くて……。
でも、私はまだ最初の……」
「なんで泣いてる?」
「だって……。
こんなことがわかったら、私は人間でないと言われる可能性もあるし。
気持ち悪いと思われちゃうかも……」
「そんなことないよ、
リアは早瀬中佐の娘だ。
地球で生まれた、日本人の、俺の大事な妻だよ」
「うう……、ハヤト」
「祖母はそこまで外人って感じじゃなかったんだよな。
だから、そんなこと考えたことなかったけど。
うん、そう考えてみると、いろいろ辻褄が合う気がする。
俺は日常生活に困ったことはないけれど、リアはあるのか?」
「母と同じ。
母ほどじゃないけど、薬が、この世界の薬が効きにくい。
だから……、背中の傷もきれいに治らなかった」
そうなのだ。
染野さんは傷を留めて培養液で湿潤療法をしたのだと思う。
ああ、治療されてた時のことを思い出すとぞわっとする……。
普通ならかなりきれいに治るはずの治療だったのに、私には傷が残った。
染野さんは私を特異体質の実験体としても欲しかったのかもしれないな。
武井先生と繋がっていたなら、母のことも聞いていたのかもしれない。
母は武井先生にどこまで話したのだろう。
父にも言えなかったことを?
そして、なんでアラスカに連れて行って欲しいと言わなかったんだろう?
そう考えて、すぐにわかってしまった。
父と同じだ。父は人間だいることを選んだ。
母は地球の人間として生きたかったのだ。
父の妻で、私の母として。
もし、私が母と同じことになったら。
離れて長生きするか、短い時間でも一緒に生きるかとなったら、ハヤトといたいと思う。人間として運命を受け入れて。
でも、私はすでにハヤトに打ち明けてしまった。
半分人間で、ダンジョンを離れても生きていくことができるから。
母の無念さを思う。
命を懸けてこの世界の人間になろうとした、父を愛していた母の……。母が愛した父の……。
命を繋いでいきたい。
母と父の命を繋いでいきたい。
「ハヤト……、私、子どもが産みたい。
母と父の命を継ぐ、私とハヤトの子どもを産みたい……」
そう、この世界で人間として生きていく、私達の子どもを。
「リア……」
お互い引き寄せられるように唇を重ねた。
ハヤトに抱かれながら、何か伝え忘れてるような……。
でも、今はハヤトのことだけを考えたい……。
スマホのことも……、当番月のことも、美咲のことも、何もかも忘れて、ハヤトのことだけを考えて、感じたい……。
読んで下さり、ありがとうございます。




