33 ふたつの考え方
どうぞよろしくお願いします。
祝、100話!
「じゃあ、リアの母はダンジョンの世界の……人間ではないかと?」
ハヤトは真剣に確認する様に言ってくれる。
「うん。
こんな大掛かりなことをしてくるんだもの。地球の人間との混血というか、同化というか、そういう方法を取っていたなら、インドダンジョンの時からすでに行われていて……。
その……、ハヤトの祖父母や曾祖父母とかにもしかしたら母のような人がいたんじゃないかと!?」
ああ、ハヤトが気持ち悪がりませんように!
「俺の……、『新人類』と中佐が言った力は魔物と関わった人間に現れる現象ではなくて、新しい世界から来た人間との混血に寄る新しい人類ということか!」
「私の母は、魔物ではなかった……と思うの。
ちゃんと人間だった。
ダンジョンを、新しい世界を地球に持ち込んだ側にもいろいろな考えを持つ人がいるのかもしれない。
母は時間をかけて、地球に子孫を馴染ませて人間として生きていけるようなやり方を選んだ人なのかもしれない」
「魔物の組織を取り込むような形ではなく?」
「魔物の組織を取り込んだら……、人間ではいられなくなる。
人間は身体が大きいから、ネズミほど変異が顕著に出ないかもしれないけれど。
そういうやり方を進めようとしてる人もいるのかもしれない。
地球の人間を自分達の下に貶めようとするような……」
「……父方だ」
「え?」
「父方の祖母が、外国の血を引く人だと聞いたことがある。でも、日本に来てたということは次の世代ということか……?
でも、なら、なんで魔物に人間を襲わせる!?」
「同じかもしれない」
「同じ?」
「私達と同じってこと。
父のようにゆっくりとダンジョンの影響を受ける、違う世界の人間が地球の人間と交わることで『新人類』が自然に増えて進化していく考え方と、DEとか言う秘密結社とやらの魔物に人間を襲わせて魔物の組織を身体に無理やり取り込ませる実験をして新しい力を得た者を増やそうとするやり方。あまりやり過ぎると人間でなくなる危険性もあるけど……。
今、地球側にはその二つの考えがあるような気がする」
「ダンジョン側も対立した考えの者達がいると?
……人類と同化しようとする穏健派と魔物に人間を襲わせて乗っ取りを企むような急進派が……。
ここのところ活動を始めた急進派は地球の人類を自分達より下にするため、つまり、乗っ取るために。
穏健派は穏やかに同化して、ともに手を取り生きていくために……?」
私は頷いた。
「ダンジョン側も防衛隊側もこのふたつの考えが対立しているのかも。
手っ取り早く力を得たいと思えば、相手の狙いには気づかず、協力してしまう者もいるかもしれない」
私は寂しげに微笑んだ。
父は襲われて、さらに治療にその実験が持ち込まれていることに気がついて、治療を拒否して、人間としての死を選んだ。
「リア……。
早瀬中佐がリアと俺を会わせてみたいと考えていたってことは……。
リアと俺に何か同じものを感じてくれていたってことで……」
私はハヤトに抱きついた。振り払ったりはされず、抱きしめてくれたけど、不安で身体が震える。
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