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緑の柱  作者: 美羽
Sapphire
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Ordeal



「…それではルーク様、結界もなくなりましたし、お行きになられますか?」


「あぁ、そうだね」



ようやく落ち着いたヘルミナが、一度咳払いをする。

ルークは苦笑して洞窟の入り口へと歩みを進めた。

あと一歩というところでピタリと止まる。



「それじゃ、行ってくるよ。

無事にサファイアをとってきて見せるから、待ってて」


「あぁ、任せたぞ」


「…無理しないでね」


「お気を付けて」


「「いってらっしゃーい」」



それぞれの見送りの言葉に勇気付けられる。

ルークは気持ちを新たに洞窟へ踏み込んだ。





洞窟内に入った瞬間、何か魔術が発動したのか外の様子は見えなくなった。

助けは得られない、ということだろう。

ルークは構わず先に進んでいった。






「…で、やっぱりこうなる訳か」



四方から放たれる弓矢を避けながら細く長い道を走り抜ける。


(―ある意味ロイに感謝だな)


こういった罠は赤の民の洞窟で経験ずみであるため、あまり大変には感じない。




そのまま先へと進むと、大きく開けた部屋のような場所に出た。


立ち止まり、部屋の中を見回す。


奥に次の通路に繋がる場所が見えた。

しかし。



「おあつらえ向きに、先を守る存在がいるって訳か」



その手前には鎧の騎士が二人立っている。

一人は剣、一人は盾をもつ彼等は、どうやら魔術で動いているようだ。

爛々と輝く青い色の石が左胸部分に埋め込まれている。

あれが魔力の源だろう。

戦って勝たなければ先には進めない、と言うことか。

ルークが剣を抜く。

それを合図としていたように、鎧たちが襲いかかってきた。



まずは降り下ろされる刃をかわす。

そのまま斬り返そうとしたが―


ギィンッ


盾に弾かれた。



「二対一って言うのは騎士道に反するんじゃないかな」



ぶつくさ文句を言いつつ、ルークはまず盾を持った方に狙いを定めた。

剣よりも盾の方が重量がある。

その分動きが鈍いはずだ。

対して、ルークのフットワークは軽い。



(――速さで撹乱して、一撃で決める)



それを成功させるためには、少し危険だが鎧達にかなり近づかなければならない。

盾の鎧に近づけば近づいただけ、剣を持つ鎧は手が出しにくくなる。

この場合、中途半端に距離をとる方が危険なのだ。



ぐっと踏み込んで、盾の鎧に急接近した。

鎧が驚いたように一瞬動きを止める。

その隙に、ルークは後ろに回った。

剣の鎧は二人が近すぎて盾の鎧に攻撃してしまう恐れもあるため、手を出しあぐねているようだ。

慌てて鎧が後ろを向こうとする。

その動作を、何回か続けたとき。


鎧が速さに追い付けず、体勢を崩した。

その隙を見逃さず、ルークは思い切り剣を鎧の左胸めがけて振るった。


パンッと音がして、石が色を失い砕ける。

同時に盾の鎧も今まで動いていたことが嘘のようにバラバラに崩れた。


さすがに疲れてため息をつく、その時。



「――しまった!!」



剣がこちらに迫り来る。

するとそれから守るように、ルークの周囲を緑の膜が覆った。


――パンッ


膜が剣に触れると、破裂音と共に剣は宙を舞い、膜が破れた。



「フィリアの…」



彼女が昨晩かけてくれた、守りの魔術のお陰のようだ。

敵は剣を弾かれ、今武器を持っていない。

このチャンスを逃さず、ルークは剣の鎧の胸の石も同じように破壊した。



今度こそ気を抜いて、地面に座り込む。



「一人で戦うのは、なかなか大変なんだね…」



今までは、三人だった。

改めてフィリアとバルドの存在の重みを感じ、ルークは一人苦笑した。




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