Invitation
「……本当に、一人でいくの?」
夕食の席でルークが話した計画に、やはりフィリアも難色を示した。
「もう決めたんだ」
「でも、やっぱり三人の方が…」
「初代だって一人でやりとげたんだ。
僕も皆の力を借りずに、自分の力だけでサファイアを手に入れたい」
どうやっても決意が揺らぎそうもないルークに、フィリアは諦めたようなため息をついた。
「……わかったわ。
でも、ダメだと思ったら直ぐに引き返して来て」
ルークが頷く。
それだけでは安心できず、フィリアは今日教わったばかりの守りの魔術を思い出した。
ルークの足元に緑の魔方陣が現れ、一瞬光を放つと消えていく。
ルークとバルドは驚いたようにフィリアを凝視した。
その視線に少し居心地が悪くなる。
「あれ、守りの壁?」
「えぇ」
「もう魔術はバッチリだねフィリア」
自分のことのようにはしゃぐ双子達を見て、バルドが恐る恐る確認した。
「…フィリア、もしかしてお前魔術が使えるようになったのか?」
頷くフィリアに、アルとエルは得意気な顔で自慢した。
「僕達で教えたんだよ」
「フィリア、もう僕達が覚えてる魔術全部使えるようになったんだ」
「それは本当ですか?」
双子の言葉にヘルミナが反応した。
双子が頷くのを見て、素晴らしい、と感動にうち震える。
「フィリアさん、この街で本格的に魔術を学びませんか?
フィリアさんほどの実力なら、かなりの高位魔術師になることができるでしょう」
「また師匠の悪い癖が…」
「僕らもこんな風に勧誘されたよねー」
「駄目だよ、フィリアは僕達と旅してるんだから」
にっこりと笑うルークの言い知れぬ迫力に、ヘルミナも反論はできずに引き下がる。
そんな師の姿が忍びなく思えたのか、アルエルが口をはさんだ。
「それならルーク様が宝石を取りに行っている間だけ、師匠に魔術を教えてもらえば?」
「それがいいよ!
師匠は僕たちじゃ教えることができない術も教えられるしね」
「それはいい考えですね」
青の族長とその次期候補達はかなり乗り気のようだ。
「でも、ルークが頑張っているのに、そんなことしていいの?」
「……ふむ、いいんじゃないか?
お前が魔術を使えるようになれば、王都までの道のりもかなり楽になることだし」
バルドも賛成らしい。
フィリアはルークを窺った。
仕方なしに、頷いて同意を示す。
「それじゃあ、お願いします」
フィリアは三人に改めて頭を下げた。




