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緑の柱  作者: 美羽
Sapphire
52/182

Night



「はい、ルーク。

横になって?」



ベッドを横目に、フィリアは無邪気な笑顔を浮かべた。



「あ、うん……」



しかし肝心のルークはまごついて、なかなかベッドに入ろうとしない。

次第にフィリアはしびれを切らし始めた。



「もう、早く!」


「わっ、ちょとフィリア…!!」



少々強引に、ルークを押し倒す。

仕方なしに布団にくるまったルークにフィリアはにっこり笑って、枕元に用意されていた椅子に腰かけた。



「ほらルーク、手を」


「えーっと、まだ眠く無いんだけど…」


「でもいつ眠くなるか分からないもの。

ね……だめ?」



至近距離で潤んだ瞳に見つめられる。

寄せられた眉に、自分がとんでもなく悪いことをしているような罪悪感を感じて、ルークは慌てて手を差し出した。



「わ、わかったよ。

じゃあフィリア、頼むね」


「ええ、まかせて」



オパールを握りしめたルークの右手を両手で包み込む。



「でも本当にまだ眠くないから、それまで話をしよう?」


「いいわよ。

でも眠くなったらすぐに言ってね?」


「……なんだか嫌にやる気だね」



そうかしら、と首を傾げてから、フィリアは何かを思いついた顔をした。



「たぶん、嬉しいんだと思うの」


「嬉しい?」


「こうやって、ルークの役に立てることが」


「……フィリアにはいつも助けられているけど」


「じゃあお互い様かしら?」



フィリアが笑みを漏らす。



「それに、これが最後の宝石でしょ?

これが終わったら、三人で王都に行けるから、私楽しみなのよ」


「そうだね。

それに、王都を案内する約束もあるし」


「でしょう?

……でも、少し寂しくもあるわ」


「寂しい?」



予想していなかった事に、ルークは目を瞬かせた。



「この宝石を探す旅が、私達を出逢わせてくれたから。

その繋がりが無くなってしまうみたいで」


「…そんなことはないよ」



ルークは握っていた拳を開くと、オパールごとフィリアの手をからめとった。

しっかりと、指と指を絡ませる。

お互いの手と手の間で、オパールが煌めく。



「旅が終わっても、僕達の絆は消えない。

だから、寂しがる必要なんてないよ」


「ルーク……」


「それに、僕は旅が終わって…王都も、城も、案内し終わって、しまっても……君に、……」


――ずっと、そばに



そう言いたくて、けれど急激に襲いかかってくる眠気に抗えずに意識が沈んでいく。

最後に、フィリアの優しい緑の瞳が瞼の裏に残った。










ルークは、何を言いかけたのだろうか。


すでに夢の世界へと旅立った彼を見守りつつ、フィリアは一人考える。



王都に行った後。

どうするかなんて、考えたこともなかった。


自分は、森に帰るのだろうか。

それとも、どこか別の―――?


物思いに耽りかけていると、キュッと繋いだ手に力が入った。


自分の事を考えろ、と言わんばかりに。




そう、なんにしろ今はルークの事を考えていなければ。

時間はたっぷりあるのだ。

それをいっぱいに使って、結論を出せばいい。



フィリアはルークの寝顔を見守り、知らずふわりと微笑んだ。




ルークの告白未遂事件(笑)

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