Joke
一方その頃ルーク達は、依然として一階のテーブルでそれぞれに会話を弾ませていた。
「よかったな、ルーク。
眠っている間中フィリアに手を握っていてもらえて」
「…別に、そんなことは」
「なになにルーク様ってばフィリアの事好きなのー?」
「うわー、ルーク様むっつりスケベー」
双子がからかってくる。
「なんなんだ君達は…」
ルークは机に突っ伏した。
彼に追い討ちをかけるように双子はニヤニヤと笑う。
「いいこと聞いたねー」
「これは邪魔しなきゃ!」
「なっ!」
「「だって僕らもフィリアの事好きだしー」」
「ライバルだなルーク」
「ロイもいるっていうのにこれ以上…」
「ところでルーク様」
ヘルミナが様子を見て話を変える。
「ルーク様の懐から魔術の気配がするのですが」
「魔術の…?
あぁ、そう言えば忘れてたね」
ようやく思い出して、ルークは豊穣の街で出会った魔女の首飾りを取り出す。
テーブルの上に置くと、魔術師達は揃って顔をしかめた。
「うわーなにこれ」
「気持ちわる…」
「……とても怨念のこもった品ですね」
それぞれに感想を述べる。
「豊穣の街に現れた魔女が術をかけたようなんだ。
確か元は青の民で、追放されたとか言っていたな」
「そんなことが…
追放されたとはいえ、青の民がご迷惑を」
「いや、いいよ。
もう君達は関係ない者だったんだから。
ただ、僕達じゃどうにもできないから、預かって欲しいんだ」
「承知しました。
責任をもって預からせていただきます」
ヘルミナが魔術を展開し、首飾りをどこか別の所へ転移させた。
「…さて、そろそろ夕食にしましょうか。
アル、エル。
フィリアさんを呼んできてちょうだい」
双子を二階へ行かせると、ヘルミナは真剣な面持ちでルークを見た。
「…先程の話ですが、ルーク様がフィリアさんを好いているというのは本当ですか?」
ルークとバルドに緊張が走る。
ルークは王位継承者だ。
彼の婚姻は、国を左右するものでもある。
「あぁ、勘違いしないで下さい。
私は別に反対するつもりではありません」
ヘルミナの言葉に、むしろルーク達は驚いた。
「…意外だな。
青の民は初代王妃をはじめ、最も多く王妃を輩出した血筋。
それを再び、とは思わないのか?」
「昔の話です。
それに、他の方々は知りませんが私個人としては身分などに興味はありません。
そうですね、ただ…」
ヘルミナに目線で続きを促す。
彼女は少しだけからかいの色をのせて微笑んだ。
「フィリアさんはあれほどの魔力を持つ方なので、むしろ我が一族に嫁入りさせたいものですね」
「…それは許可できないな」
ルークは顔をひきつらせた。
「魔力の強い者同士の子供は、やはり強大な魔力を持って産まれやすいのですよ。
まあ、今はまだ冗談ですので、お気になさらず。
フィリアさんも直にいらっしゃるようですし、この話はここまでと致しましょう」
そう言って、ヘルミナは席を立っていった。
恐らく食事の準備があるのだろう。
取り残された二人は呆然として彼女を見送る。
「…まさかヘルミナ殿からあんな言葉が出るとはな」
「しかも、今はまだって言っていたしね…」
「ふむ、もしもフィリアがここに嫁入りするとすれば、相手は間違いなくアルかエルだろうな」
「そう言うことを言うの、冗談でも止めてくれないかな…?」




