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緑の柱  作者: 美羽
Sapphire
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Fear


一同が一息ついたところ、双子がある提案をしてきた。



「そうだフィリア!

魔力の量を測ろうよ」


「あっ確かに!

僕らとどっちが多いか、勝負だね」


「…そう言えばまだ測っていませんでしたね。

少し待っていてください、用意をしましょう」



そう言って席を立ったヘルミナはしばらくしてテーブルに置いてある水晶よりも二回りほど小さい、片手に収まるほどの黒い玉を持ってきた。



「これが…?」


「ええ。アル、実演してごらんなさい」


「はーい」



アルが黒い玉を受け取る。

彼はそれを両手で包み込むように持つと、目を閉じた。

そのまま数秒待ち、目を開き手を広げると。



「赤くなってる…」



そう、黒かったはずの玉が真っ赤に染まっていた。

アルが玉をテーブルに置くと、それは元の黒に戻った。



「このように、魔力を持つ者によって色は異なりますがその濃さによって魔力の量がわかります」


「普通に持つだけでいいのかい?」


「いえ、この玉に意識を集中させねばなりません」


「次は僕の番だね」



エルが玉を持つ。

彼の場合は玉は青く染まった。

濃さはアルと同じくらいだろうか。



「私の場合ですと、淡い水色になりますね」



ヘルミナも目の前でやって見せた。

確かに水色に染まっている。



「アルとエルのものより、薄い……?」



ルークの呟きにヘルミナは素直に頷いた。



「彼らはかなりの魔力を持っていますから。

それに二人で一つの魔術を行使すれば、その効果は絶大なものとなります。

おそらくルーク様の御世には、この二人が総ての青の民を、魔術師を率いてゆくこととなりましょう。

……ああ、話がそれてしまいましたね。

さ、フィリアさん」



フィリアは差し出された玉を、緊張の面持ちで受け取る。



「フィリア、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」


「そうそう。簡単だよー」



双子に左右から励まされ、少し緊張も解けた。

両手で玉を包み、目を閉じて集中する。

手の中で玉が熱くなった気がした。

そして、心なしか左胸の紋様も。


そっと目を開き、玉を見る。



「……これは」


「すごい!!」


「あー、負けちゃったか」



玉は緑に染まっていた。

強く輝き、光を放っている。



「かなりの魔力ですね。

想像以上です」


「くやしいなー」


「僕らまだ青の民の誰にも負けたことなかったのにねー」



フィリアはまだ呆然としている。

服の左胸のあたりを、ギュッと握りしめて。


その様子を、ヘルミナは注意深く見つめていた。











フィリアはため息をついた。

今夜、ルークの夢見を手助けするということで、魔力を流す側は一晩中、ルークの目が覚めるまで起きていなければならない。

そのため、今から仮眠をとっておくといいとヘルミナ達に勧められ、ベッドに横になったのだが。



「全然、眠れない」



元々旅の最中は規則正しく寝起きしていたため(勿論野宿の時には夜に火の番などもしていたが、それは一晩中ではなかった)こんな中途半端な時間には寝付けない。

これは無理ね、と心で呟いて、フィリアはそっと起き上がった。


部屋の壁に掛けられている鏡の前に立つと、胸元を肌蹴させる。



蔦の紋様は、明らかに以前より大きくなっていた。



―――一体、これは何なのだろう。



この紋様のことは、ルーク達にも言っていない。

何故だか誰にも黙っていなければ、と思うのだ。

他の誰でもない、フィリア自身が。


けれど。



――これが、もっともっと大きくなった時。



今まで信じてきた何もかもが、逆さになって。

そうして―――


フルリ、と頭を振る。



もう、何も考えない方がいい。

フィリアはそっと、鏡から目をそらした。




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