表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緑の柱  作者: 美羽
Sapphire
48/182

Riddle



「こちらが領主の館となります」



ヘルミナに案内されて入った建物は、今までのどの領主の館よりも小さかった。

むしろ普通より少し大きい家、と言った方がいいだろうか。



「ルーク様方も前回の視察では天幕を張って休まれたので、ここに来るのは初めてですね。

申し訳ありませんがここでは使用人などはいませんので、色々と不便でしょうが……」


「いや、大丈夫だよ。

むしろ、みんなが気を使いすぎるんだ。

これぐらいが丁度いい」


「そうだな。

特にフィリアなんかは今まで構い倒されていたから特にうれしいんじゃないのか?」


「確かにそうかもしれないわね」



今までのメイドとの日々、それを思い出してフィリアはブルリと震えた。



「そう言っていただければ幸いです。

さ、なにか温かいものでも出しましょう。

アル、エル。三人を案内するように」


「「はーい」」



こっちだよ、と手招きされる。

リビングだろうか、大きな丸いテーブルが部屋の中心に置かれており、その上には丸い水晶が乗っていた。



「これは?」



不思議に思い、バルドが尋ねる。



「これは見ての通りの水晶玉だよ」


「さっきはこれでルーク様達が来たことを知ったんだ。

と言っても見たのはお師匠様だけどね」


「これで離れたところを見ることが出来るの?」


「というか、結構なんでもできるんだ」


「たぶんフィリアにもできるよ」


「さ、座って座って」


「フィリアは僕らの隣ね」



席を示される。

どうやらフィリアは双子に気に入られたようだ。

また次期族長が…とどこかで呟きが聞こえた。



「お待たせしました。

熱いので気を付けて」



ヘルミナがカップを差し出す。

それを飲んで、三人はやっと体を落ち着けさせることができた。



「ところで、サファイアのことなんだけど」



ルークが切り出した。



「…最後の宝石ですか。

私も、探ってはいるのですが」



そう言ってヘルミナは水晶玉をチラリと見る。



「僕らも手伝ってるんだけど」


「なかなかうまくいかないんだよねー」


「それでは、闇の者はどうだ?

今までは闇の者がいる場所の近くに宝石があることが多いのだが」



バルドの問いにもヘルミナは首を振った。



「それもありません。

この夢幻の都は平和そのものです」


「そうか…」



手掛かりがない。

初めての経験だった。



「そう言えば、剣の反応はどうなの?」


「……あっ」



フィリアの言葉に、思い出したようにルークは剣を抜いた。

天に向けて突き刺すように掲げる。



「反応はあるようですね」



輝く四つの宝石を見てヘルミナが呟く。

しばらく考えた後、彼女は剣をおさめたルークに一つの提案をした。



「オパールの力を使ってはどうでしょう」


「オパールの力?」



ルークが眉を寄せる。

どうやら知らないようだ。



「アル、エル。説明を。

修行の復習です」


「えー

……確か、予知の力だったっけ?」


「そうそう、それを持って眠ると、求めるものが夢に出てくるんだよね」


「夢に?」


「えぇその通りです。

しかもその夢は現実と連動しています。

ですからおそらく、ルーク様がオパールを持ってサファイアを思いながら眠ればそれが夢に出てくるはず。

そしてその夢の場所に、サファイアがあるのではないかと思うのです」


「……なるほど。

宝石の力はすさまじいからな。

上手くいくかもしれん」



トパーズの力を使っていた魔女を思い出す。

あれほどの力であれば、おそらく。



「ただ、宝石を扱うにはある程度の魔力が必要です。

ですのでルーク様がお眠りになられるときに、魔力の高い誰かがオパールを持つ手を握っている必要があります。

そうすればお互いの手を通じて魔力が行き交いますから」


「手を握っていてもらわなきゃいけないのか…

案外面倒なんだね」


「こればかりは。

初代国王も、オパールの力を使われるときには時の王妃か女神に協力してもらいながらだったと聞いておりますし」



ヘルミナは困ったように苦笑した。



「さて、誰がその役目を行いましょう?

選択肢としては私かアル、エル、それにフィリアさんの四人が挙げられますが」


「私も?」



フィリアが驚いたように聞き返した。



「はい。

先程も言いましたが、フィリアさんはこの二人に匹敵する魔力を持っていますので。

正直に言えば、長く共に旅したフィリアさんがこの役目に一番ふさわしいのです。

魔力を持つ者は皆、無意識に僅かな魔力を放出しています。

ですのでルーク様の体も、フィリアさんの魔力の質に慣れているはずです。

魔術を他人に流す場合、慣れたものの方が魔力酔いを起こしませんので、ルーク様の体に負担をかけずに夢を見ることが出来るのです」


「じゃあ、私がやるわ」


「えっ!?」



即座に頷いたフィリアに、ルークが思わず声を上げる。



「? 私じゃ駄目かしら?」


「いや、そんなことは…」


「ならばフィリアさん、お願いします」


「はい。 …あの、なにか手を握っているときにしなければいけないことなどはありますか?」



ヘルミナは首を振った。



「いいえ、ただ手を握るだけで大丈夫です。

…そうですね、しいて言えばフィリアさんはルーク様のことを思っていてください。

そうすればより円滑に魔力が流れるはずですから」


「わかりました」



とりあえずの方針が定まり、一同はホッとした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ