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緑の柱  作者: 美羽
Topaz
43/182

Disposal

残酷描写があります。

お気を付け下さい。



やっと見つけ出したトパーズを持って、魔女の傍から離れる。



「……?」



魔女はまだ息をしているようだ。

心臓も脳も、全てを切り裂いてナカを漁ったはずなのだが。

あぁ、とフィリアは何かを思い付いた様な顔をした。



「もういらないから、死んでいいわ」



瞬間、魔女の体がただの肉塊となって崩れた。

大して興味もなさそうにそれを見つめて、ふとフィリアはメリダを見た。


彼女はガタガタと震えてこちらを見ている。

そちらに足を向ける。



「あ…いや………

やだ…許して、お願い、ゆるしてごめんなさい、ごめ…」



無表情で、頭を鷲掴む。



「ヒッ、」



小さく悲鳴を上げたきり、彼女は動かなくなった。

手を離すとそのままバタリと地に伏すメリダをそのままに、フィリアは振り返る。



「いるのでしょう?

さっさと出てきなさいよ」



ローブを目深に被った人影が、二人現れる。

その二人はフィリアの前に行くと、そのまま跪いた。



「相変わらず覗き見が好きね。

……でも、あんまり傍観を続けていると、気づいたときには大事な大事な王子サマが死んでしまっているかもしれないわよ?」



クツリとフィリアが嗤う。

二人は頭を下げたまま、無言で応えた。


フン、とその様子に鼻白む。



「まあ、いいわ。

あれ、片付けておいて」



魔女だったモノを指す。



「あと、記憶の操作もしておいてちょうだい。

私も疲れちゃったし」



そう言って、愛おし気に剣を撫でると、トパーズを窪みに嵌め込む。

あの魔女が剣に触れたことに苛立って、余計な力を使ってしまった。

けれど、あれはあの女が悪い。

彼の剣に触れたのだから。



「族長の娘は生きているのですか?」



そこで初めて、人影が口を開いた。



「ええ。

例えこんな出来損ないでも、殺したらまずいでしょう?」


「貴女にしてはお優しいことですね。

彼女は王位継承者を危険に晒したのですよ?」



人影の言葉に、フィリアは何を言っているのかわからない、とでも言うように首を傾げた。



「だから?

あれはただの王位継承者でしょう?

彼じゃない王なんて、ただの紛い物よ」



一瞬、人影が動揺する気配がする。



「そうだ、怪我の手当てもしておいて。

記憶は……そうね、あれが倒した、とでもしておいて」



ルークを顎で指し示す。



「御意に」



人影は再び頭を下げると、それぞれ分かれて作業を始める。

その様子を黙ってフィリアは眺める。



あの忌々しい魔女の血で、体も服も汚れてしまった。


ふるりと頭を振ると、汚れが嘘のように消え去る。


剣は、汚れていないだろうか。



もう一度、今はトパーズも加わり残る宝石は一つとなった剣にそっと手を添える。



―――アルザス



そのまま、剣を抱きしめた。



「大丈夫。

ちゃんと私は、貴方の願いを叶えてみせるから」



―――だから安心していて。私だけの王。





次に目が覚めた時には、この狂おしいまでの想いも忘れてしまっていても。

何も知らない“フィリア”に戻っても、いつかは。


記憶を完全に取り戻して、ただの“私”に。






緑の瞳が切なく細められた。



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