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緑の柱  作者: 美羽
Topaz
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Decoy



その後合流したバルド達も、似たような情報しか掴むことが出来なかったようだ。


一先ず情報をアードルトに伝えるのとこれからの作戦会議のため、領主の屋敷へと戻る。





「そうですか…」



昼食の席でアードルトにこれまでの事を話すと、彼は沈痛な面持ちで黙りこくった。



「情報が少なすぎて迂闊に手が出せんな。

しかし、対応が遅れては新たな犠牲者が出てしまう…」


「……私が囮になって犯人を引き付けるってどうかしら?」


「駄目だ!危険すぎるよ」



フィリアの提案はすかさずルークによって却下される。



「危険と言っても、最終的にはその犯人と戦うんだし、あまり変わらないと思わない?」


「そういう問題じゃないよ…」


「あの、それなら私はどうでしょう?」


「ユナ…お前まで何を言っているんだ」



アードルトも頭を抱える。



「それなら私が囮になりますわ」


「メリダ!?」



メリダまでもが立候補した。

彼女は皆の視線に負けず、言葉を重ねる。



「私の方が狙われやすいと思いますもの。

どこぞの平民と違い、気品というものがありますから。

それに、貴女は次期族長として民に知れ渡っています。

ならば私が囮になるのが妥当というものでしょう?」


「だから、囮を使った作戦自体に僕達は反対しているんだよ!?」



ルークの言葉に、メリダは何時ものように彼にしなだれかかる。



「まあ、心配してくださるんですの?

嬉しいですわ。

私、本当は怖いです…

でもルーク様のお役に立てるなら、喜んで囮になりますわ。

だから犯人が襲って来たら、必ず助けて下さいませ」


「ちょ、メリダ……」



どうにも引かない様子のメリダに、大人組はため息をついた。



「…仕方あるまい。

頼んだぞ、メリダ」


「身の危険を感じたら、計画に関係なくすぐに逃げてくれ」


「わかりましたわ」



二人が賛同すれば、もう否とは言いにくい。

仕方なしに、ルークも諦めた。



「それじゃ、計画を立てましょ?

犯人をどこにおびき寄せるのか、考えないと」


「…それなら、広場の北が良いと思う。

畑とかは、戦っているうちに被害が出てしまうかもしれないし。

北は建物も少ないし、夜には間違いなく人もいなくなると思う」


「ふむ、ユナの言う通りだ。

確か、まだ何も建てられていない空き地も多かったはず。

そこにおびき寄せるとしよう。

いいな、メリダ?」


「はい、お父様」


「戦闘要員としては、俺とルークとフィリアで大丈夫か?」


「…私も、連れていってくれませんか?」



バルドの問いかけに、ユナが決意を込めた眼差しを向けた。



「ユナ嬢も?

しかし、危険だぞ。

見たところ、戦いに慣れている訳でも無さそうだ」


「はい、わかっています。

でも、私にもアードルト様と同じく守りの力があります。

それで、メリダ様を守ります」



バルドが顎に手を当てて考える。



「…確かに、メリダ嬢を庇いながら戦うのは難しい。

その力は頼もしいが…構わないか?」


「あぁ、私の娘と後継を頼む」


「わかった」



話もまとまり、メリダが席をたつ。



「それじゃあ私、準備もありますし部屋に戻りますわ。

……あら、何かしら?」



フィリアに目を向けた。

フィリアは先程からメリダの首にさがったネックレスをじっと眺めている。



「その首飾り…」


「平民の癖に目は確かなのですね。

今日商人から買ったんですの。

…それだけかしら?」


「えぇ…」



メリダはプイッと顔を背け、出ていった。



「フィリア、あれがどうかしたの?」


「…ううん、昨日まではしていなかったから、気になって」


「まあ、確かにかなり大きなルビーだったしね」



そう、確かに大きなものだった。

血のように赤い、ルビー。

あの首飾りをどこかで見たことがあるように思うのは、気のせいだろうか。






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