表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
緑の柱  作者: 美羽
Topaz
32/182

Dialogue



「ところでフィリア、ルークの事なんだが…」



木の根本に座ってフィリアに渡された(実際は自称占い師という青年からもらったものなのだが)果物を食べながら、バルドがポツリと話し始めたので、フィリアは先んじて言葉を発する。



「わかってるわよ。

私が身分を気にして態度が変わるかも、って思ったんでしょう?」


「……あぁ、そうだ。

よくわかったな」


「ふふ、私を甘く見ないことね」



本当は占い師に教えてもらったのだが、そんなことバルドは気づかない。



「理由はどうあれ、お前に嘘をついていたことは事実だ。

黙っていてすまん」


「……じゃあ私、色々と聞きたいことがあるのだけど、聞いてもいいかしら?」


「ああ、もう嘘はつかん。」


「なら遠慮なく聞くわよ?

そうね、ルークが王太子様なら、バルドもお城で働いていたりしたの?」


「ああ、俺は国王様――いわゆるルークの父にあたる方だが、彼の近衛兵だったんだ」


「近衛?

ふつうの兵士とは何が違うの?」



そうだな、とバルドは顎に手をあて夜空を見上げる。



「兵士は国を守るための者だが、近衛は違う。

自分の主だけを守るために剣をふるう者達だ。

俺は国王様に剣を捧げた」


「じゃあ何故ルークと旅に?」


「俺にもわからん」


「…?」



首をかしげたフィリアに、バルドはため息をついた。



「ある日突然、ルークと共に旅に出てほしいと言われてな。

あの方の頼みを俺が断れないことを知っていて、全く困ったものだ」


「旅に出るのは嫌だったの?」


「あぁ、そうだな。

なにしろ城にいたときのルークときたら、悪戯ばかりの悪ガキで、俺が苦労するのは目に見えていた。

……何より、俺はあの方に剣を捧げた身。

あの方のための剣だというのに…」


「貴方のこと、信頼してたのね」


「なに?」



フィリアを少し驚いて見るバルド。



「だって貴方のこと信頼していなければ、自分の息子を預けようなんて思わないもの。

よかったじゃない、王様に頼りにされてて」


「お前は時折、こちらを驚かせるような事を言うな…」



そう言ってバルドは楽しそうに笑いだした。

フィリアが頬を膨らませる。



「なによ、思ったことを言っただけなのに。

そう言えばロイもそんな風に急に笑い始めたのよね。

失礼しちゃうわ」


「そうか、ロイもか…

お前のそういうところを、気に入ったんだろうな」


「ほめてるのよね、それ…?」



もちろんだ、と冗談めかして、けれど心からそう言って、バルドが立ち上がる。



「一旦馬車の近くに戻るぞ。

あいつらにこの果物を分けてやらねばな。

それに、あんなところに馬車があったら盗賊に狙われるかもしれん」


「わかったわ」



バルドの隣に並んで歩きだしたフィリアは、けれど彼に悪戯っぽく微笑んだ。



「そうそう、バルドはちゃんと謝ってくれたから許すけど、私はまだルークのことは許してないわよ?

悪いのは絶対そっちだもの。

ルークが私にきちんと謝って、自分の事を自分の口で教えてくれるまで、ルークとは口を利かないから」


「……お前、実は結構俺たちに対して怒ってるんじゃないか?」



そんなことないわよ、と言って、フィリアは上機嫌で馬車に向かっていく。

その背を見てバルドは苦笑した。



(まあ確かに、ルークにはいい罰になる)



ただ、メリダの存在が問題だ。

彼女がいては、ルークはフィリアに近づくことすら出来なそうだ。



(自業自得だな)



バルドに手伝う気は更々なかった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ