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緑の柱  作者: 美羽
Topaz
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「で、今度はこれか……」



バルドは空を仰いだ。

無事砂漠を抜け、西の地へ入ったばかりの小さな町で。

三人をまさに台風のような少女が待ち受けていた。


バルドの目の前には嫌がるルークの腕に絡みつく少女の姿。

フィリアはどうしていいかわからずにバルドの方を窺っている。

無理もない。

およそ彼女は今までフィリアの関わったことのない人種だろう。



その、ルークに引っ付いている彼女、名はメリダと言うが、黄の族長の娘である。

だが、護りの力が現れなかったため跡取りにはなり得ない。

以前その事でルーク達とは一悶着会ったのだが、フィリアがそれを知るよしもない。


何はともあれ、問題は何故領主の館にいるはずの彼女がこんな所に突然現れ、ルーク様!と言いながら問答無用で彼に抱きついたのか、である。



「…メリダ、何でこんなところに君が?」



もはや抵抗を諦めたのか、ぐったりした様子でルークが尋ねる。

それをものともせずにメリダは甘えるようにルークにすりよった。



「だって、父からルーク様達が私達の街にいらっしゃると聞いたんですもの。

私、待ちきれなくて来てしまったのです」



メリダはそう言うが、領主の館がある西の中心、豊穣の街はここからかなり離れた先だ。

彼女は幼い頃から蝶よ花よと育てられた生粋のお嬢様。

一人旅が出来ようはずもない。



「どうやってここまで?」


「バルド様もお久しぶりですわ。

この町まではもちろん、馬車に乗って参りました」



やはり、とルークとバルドは嘆息した。



「メリダ、迷惑をかけるのはよくないよ」


「迷惑だなんて、彼等は私に仕えているのですよ?

私の命令を聞くのは当たり前ですわ。

ルーク様ったら、お優しいのね」



ころころと笑って、ところで、とフィリアを見つめる。



「貴女、どこのどなた?」



先程までルークに向けていた声音とは一変、刺々しい声を出す。



「私はフィリア。

貴女はメリダ、というの?」


「…行儀がなっていませんわね。

馴れ馴れしく呼ばないでくださる?


「……えっと、メリダ様、と呼べばいいのかしら?」



バルドに確認をとるフィリアの姿に、たまらずルークが叫ぶ。



「メリダ!!」


「だってルーク様、あの女、仮にも王太子であるルーク様の許嫁の私に対して……」


「そう言う問題じゃないだろう!?

それに、君との婚約はなかったことになったはずだ」


「……王太子?」



言い争う二人に、ポツリとフィリアが呟く。

しまった、とバルドは思うが、時すでに遅く。



「ルークって、王太子だったの?」



ルークの顔がサッと青くなった。

それに気づかず、メリダが勝ち誇ったように更に言葉を重ねる。



「あら、貴女知らなかったの?

そうよ、まぎれもなくルーク様こそこのオルアースの次期国王であらせられるわ。

そして私はその許嫁。

……ふふっ、一緒に旅をしてきたというのに、そんなことも知らないのね?」


「………」



押し黙るフィリア。



「…フィリア、あの……」


「ルーク様、あちらに馬車を待たせておりますの。

我が領地までご一緒しましょ」


「っ、メリダ!」



フィリアに対して弁明もできず、グイグイと引き摺られていくルーク。

せめてとバルドがフォローを入れようとするが、



「その、フィリア。

あの話は……」


「…私達も行きましょ」



ぷいと顔を背け二人の後に着いていくフィリアの姿を見て、だから俺は早く伝えろと言ったんだ!、とバルドはルークに毒づいた。




ついにルークの秘密が明らかに!!

まあ彼らは不器用なので秘密をいまいち隠しきれてもいませんでしたが。

フィリアちゃんが記憶喪失でよかったね。


意地悪令嬢はやっぱり王道ですよね。

書いてて楽しいです。

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