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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


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神さま、八つ裂く。


氷上の魔物は殲滅したし、次は水中の水魔蚱(プルモー)の対処に移ろう。


どうやって倒そうかな〜と思案していたら、水魔蚱(プルモー)の動きが、突然変わった。



俺達の下に集っていた個体も、コチラに向かっていた集団も、そのゆったりとした、しかし確実な歩みを、ピタリと止めてしまったのだ。



葬刃霊臥(そうじんりょうが)は術を付与した武器が繰り出した攻撃の威力をコピーし、指定範囲内にいる生き物全てのゼロ距離地点に出現させ、ダメージを与えるものだ。


不可避の攻撃と言えるので、チート的な攻撃と言われそうだ。


だがしかし残念ながら、影を伸ばした先にいるモノしか対象にならない。



時の精霊(クロノス)の力も借りれば、首や胴体を指定して斬撃を届ける事が出来たのだが、今回はしていない。


なので俺が刀を振った位置である、氷から一m程の高さにのみ、影響が出ている。



小さい魔物がいたら、撃ち損じた個体がいたかもしれないね。



体格の差があまりない、大きな魔物ばかりだったから、微調節をしなくても問題ないと判断したので、結局は時の精霊(クロノス)の力は借りなかったのだが。



懸念としては、角骸鯨(ポーコゥル)なんかは身体に厚みがあるし、威力が足りずに討ち損じる可能性があった事だ。


しかしオプリタス大陸では闇の精霊(テネブラエ)の力が増しているためか、不安に思う必要は全く無かった。



角骸鯨(ポーコゥル)海魔驢(ザロプス)も、全て見事に一刀両断されたようで、全滅している。


微塵も気配が感じられないからね。


気絶しているパターンは、さすがに無いだろう。



胴体や首が上下に分かれて生きていられる生命体なんて、プラナリアくらいしか思い浮かばない。


そういう魔物も、もしかしたらいるのかもしれない。



しかし少なくとも、今回倒した二種類の魔物には、そんな特性はない。

安心して殲滅宣言が出来る。



葬刃霊臥(そうじんりょうが)は離れた位置にいる相手でも一気に倒せる利点はあれど、効果を発動させる魔物の数に応じて消費霊力が増える。


そのため、一回の攻撃で滅茶苦茶疲れる。



ソレを良しとするか悪しとするかは個人の判断によるだろう。






少なくとも、水中の水魔蚱(プルモー)は攻撃の対象外になっている。


だから、なぜこんな事になっているのかが分からない。



何でコヤツ等は凍りついたように、静止しているのだろう?


気配はあるから、カノンが倒してくれたという事もないだろうに。



「カノン、水魔蚱(プルモー)の様子が、なんか変」


「変?

 お前が魔物を倒したから、その死肉を狙って移動を始めただけだろう?」


あぁ、急激な方向転換が出来ないから、一度止まって進む方向を変えようとしている最中なのか。



「え!?

 魔物って魔物食べんの!!?」


「食物連鎖を知らんのか」


イヤ、知ってるけどさ!!!



魔物って基本的に人間を襲って食うイメージしかなかったから、生物群集内における相互関係性があると思わなかったんだよ。



瘴気を糧にしているって言うから、そんなカスミみたいなモンだけで、よくあんな巨体を維持出来るなぁ、さすが負の不思議エネルギーの素だ。


な〜んて思っていたんだよ。



でもさ、草食動物はいないじゃない!?


草を食んでいるような魔物ですら、人間を襲うじゃない!!?


ウサギソックリの妖兎(レプス)とか、その筆頭じゃん!!!??



草食や肉食、雑食とかそういうカテゴライズはされずに、魔物は人間しか食べない拘りがあります!あぁ見えて皆グルメなんです!!という話なんだと思ってた。



ナワバリ争いをしている魔物なんかは見た事あるけれど、ソレって捕食行為ではないじゃない。


しかも倒した後の死骸はそのまま放置される傾向にあるし。



アレはあくまで自分に逆らったらこうなるぞ、という見せしめの意味を込めて放置していたのかな?


もしくは畜生でも共食いはしないって話なのかも??



そうか。

魔物って、魔物を食べるんだ……



へぇ〜。



んじゃ、スカベンジャーのごとく立ち回れば、冒険者に頼らずとも村の人達だけでも魔物の肉や素材を回収する事が出来そうだね。



野生動物は内臓から食べると言うし、運が良ければ肉が手に入る。


そして皮や爪、牙のような腹の足しにもならない、しかし人間にとって有用になるものを、魔物は後生大事にとっておくような事をしない。



そういう散らかったモノをあされば、リスクを低く素材確保が出来るようになるかも。



魔物の爪や毛皮って、装備品としてかなり優秀だからね。


元々の素材として頑丈だし、付与も出来るし。



そうすれば冒険者の装備品のグレードを高くする機会が増えたり、加工する事にはなるだろうが肉が市場に流れやすくなるのではななかろうか。



しかしそんな生活改善と向上の目論見をしているヒマが、今はない。



つまり水魔蚱(プルモー)より先に辿り着かねば、倒した魔物が横取りされてしまうという事ではないか!






「先行ってるわ!」


了承の返事も待たずに、魔物の死骸が散乱している場所へ転移する。



足下には何十という数の魔物が骸と化して、おびただしい量の血が氷の上を伝ってはその先から凍りついていた。



死んだばかりなので、身体の深部はまだ温かいのだろう。


過冷却状態の水のように、()()()まで凍るような事は無いようだ。




しかし氷が溶ける速度よりも、血液が凍りつく方が早いようだ。


血溜まりになっている箇所は、他の氷湖面よりも盛り上がっていた。



さすが氷点下五〇度以下の世界だ。


シャーベット状ではなく、シッカリと凍りついている。



臭いがないのが有難いな。


鉄錆臭さが充満していたら、吐き気との戦いをしなければならない所だった。



風の精霊(ウェントス)の力を借りて上空へ移動し、眼下を見下ろす。



スタート地点は同じだったろうに、結構バラけて死骸が転がっているな。


魔物にも長距離走の得手不得手があるのだろうか。



全ての魔物が視界に入る位置まで、更に上昇をする。



まず取り出したペンで、あらかじめ書いておいた転移方陣に出口の紋様を描き込み、入口と対にするための目印を描いて四次元ポシェットに突っ込む。


そして方陣を見ながら、氷の上に霊力で術式を刻んでいく。


その霊力に沿うように火の精霊(イグニス)に氷を溶かして貰えば、大規模な転移方陣の完成だ。



ソコに霊力を注ぐと、あ〜ら不思議。


一瞬で氷上にあった魔物の死骸は、全て四次元ポシェットに収納されてしまいました〜。



とっても楽チン!


今度から複数の魔物を収納する時は、全部こうしようかな。






魔物の血による錯覚なのか、実際にそういう色に光っているのかは不明だが、魔物の死肉を求めて寄ってきた水魔蚱(プルモー)の放つ光が、青色メインから赤色へと変化している。


もしかして感情によって色を変えられるのだろうか。

クラゲのクセに生意気な。


反射反応以外を見せるなよ。



さほど強いとは言えない魔物とはいえ、一〇〇匹以上が集まっている事実は、なかなかに驚異と言える。


気配が薄くて正確な数が分からなかったのだが、光が赤くなった事により、なぜか気配も濃密になった。



そのお陰で判明したのだが、思っていたよりも随分と多い水魔蚱(プルモー)が氷の下にいるようだ。



食べ物が無くなったことに対して、怒っているんだろうなぁ。


そもそも俺が倒したんだから、俺に取得する権利があるのに。


横取りしようとする方が悪い。



そんな理屈、野生生物、しかも魔物なんぞに通じるはずもない。



ベンベンと水中から氷を叩き、時には穴を開けて触手をコチラへ伸ばそうとしている。


残念ながら、長さが全く足りないので俺には届かない。



しかしカノンが到着したら危ないな。

サッサと倒してしまわねば。






水の精霊(アクア)だけでは弱いだろう。


風の精霊(ウェントス)にも助力して貰い……そうだな。


どうせなら活躍の場が余り無かった地の精霊(テルモ)火の精霊(イグニス)にも、この際だからお願いをしよう。



まず水の精霊(アクア)風の精霊(ウェントス)の力で氷の下に水流を作る。


その流れが勢い付くように、地の精霊(テルモ)に湖底の地形を変て貰う。



海底何千mとかあるのなら、水の温度は下にいけば行く程冷える。

しかしココは湖で、最大水深でも五〇〇mもない。


そして湖面を撫でる風の温度はマイナス五〇度を下回る。



普段なら分厚い氷に覆われていて、外気温の影響をさほど受けない水中だが、今日は魔物の行き来が激しく外気も暖かい部類に入る。


つまりは不純物が多くなっている上、水の分子がよく動いているから、熱が伝わりやすくなっている。



火の精霊(イグニス)の力で湖底を温めれば、温度が水へと急速に伝わり、しかし外気からの冷気によって急激に冷やされる。



水の精霊(アクア)風の精霊(ウェントス)が生み出した水流は、地形の変化と水の上部と下部の温度差によって、更にその勢いを増していく。


渦を巻き、水魔蚱(プルモー)が空けた穴から氷に亀裂が入り、その先から砕けて湖底へと沈んでいく。



今の水魔蚱(プルモー)は……そうだな。

鋭い氷の刃によって、ミキサーにでも掛けられているような状態になっているんじゃないかな。



クラゲには心臓がないが、水魔蚱(プルモー)は魔物である以上、魔石がある。


そのはずなのに、さっき水中で見た時にはそれらしい物がなかったんだよね。



そうなると一撃必殺の弱点が判らず急所を突けないので、下手な鉄砲かずうちゃ当たる戦法で、グッチャグチャに切り刻ませて貰った。



クラゲの利用法なんて、その水分保持力と無機質含有量の多さから、緑化したい場所に森林再生目的にばら撒くくらいしか思い浮かばない。



カラッカラに乾燥させたクラゲチップは、空気中の湿度を吸収してくれるから、雨が降らない土地でも大地を潤してくれる。


しかも肥料にもなるから、植物の成長が早くなる。


苗の活着率も高まり、生分解性があるから土壌の微生物が一年程かけてゆっくりと分解してくれるから環境負荷もほぼ無いと言える。



乾燥させる時や、利用しやすいよう細かくする時に多少の負荷が生じてしまうが、得られる効果の方が高い。



地球の常識で考えれば有用性は確かにあるのだが、残念ながらこの世界は砂漠化現象に悩まされているような土地は無く、森林伐採による温暖化も起きていない。


なのでわざわざ回収をする価値も意味もない。



一応食べられるそうだけれど、加工するのに手間暇がかかる。



美容成分であるコラーゲンや、関節疾患に有効なムチンが含まれているので、健康目的に加工し、ラクサリス村の資源にするという手はあるか?


しかし果たして日々の生活もままならない人達が、美容に価値なんて求めるのだろうか??



確かに女性の美に対する執念は、古今東西どの年代でも命懸けで執り行われてきたものではあるが……



まぁ、念のため、デロデロになった死骸を一部だけ回収しておくか。


全部は要らない。

なんか四次元ポシェットの中が、磯臭くなりそうなんだもの。


気分的に嫌。


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