神さま、蝕む。
ご覧頂きありがとうございます。
とんでもない誤字をやらかしてました!
登場人物の名前間違えるとか、何で読み返した時に気付かなかったのでしょう……(;°ロ°)
‘’ステラ‘’は別作品‘’整理士‘’の登場人物です。
混乱させて申し訳ありませんでした。
ご報告ありがとうございました!!
激しい攻防戦を繰り広げてカノンが奮闘しているように見えるよう、派手な音と光のエフェクトを掛けながら、コソコソと内緒話をする。
俺が踏み付けたヤツはやはり村長だった燼霊だそうだ。
今は見るも無惨な姿になっているが。
頭を踏み潰されても脳漿を炸裂させてないあたり、既に人間の肉体じゃ無かったって事だわな。
燼霊ならば精霊と同様、受肉するための器が無い限り、物に触れる事は出来ないはず。
当然、俺達が触れる事も不可能だ。
ならば燼霊ではなかったという事なのだろうか?
その割には、燼霊の特徴である、霊力による気配の探知が出来ないのだけれど。
頭が潰されているのだから当たり前だろうも思うかもしれないが、もし生物だったのなら、死ねば魂が出てくる。
ソレすらないのはおかしい。
元村長その人であった事までは確認済みだそうだ。
対峙した時に、俺や瑞基に対する暴言を吐きまくっていたとの事なので、間違いは無さそうだな。
だがカノンにも、コイツが何で、何故こんな状態になっているのかは分かっていないと言われた。
観察している限りでは、意識がある樹化人間がイレギュラーに動いているようにしか見えなかったのだとか。
自身の肉体から生えている木の枝に留まらず、他の樹化人間の身体も操っていたので、今回オプスクリス開拓村で流行している 粉媒楢の親玉的な存在なのではないか?と言われた。
まぁ、それは状況的にそうだろうね。
いずれにせよ、燼霊が消滅する時のように崩れないし、魂も浮遊してこないから、まだ死んでないのは確定だ。
油断をして足元を掬われないように注意しようという結論に至った。
カノンは気付いていないのだろうか。
粉媒楢なら、魔物の気配がするはずだ。
なのに村長からは、ソレが感じられない。
全くの、無の状態だ。
村長が 粉媒楢の親玉では事実あるのだろう。
しかし魔物ではない、燼霊に近い存在。
もしくは今まで会ってきた燼霊とは違う、ちょっと変わった存在なのだと判断し、警戒しておこう。
燼霊は庇護対象を多く抱えながら舐めプして無傷で倒せる相手ではないからね。
実際、カノンは今の今まで決定打に欠けた攻撃しか出来ていないから、こんな事になっているのだし。
お陰で彼がどこに瑞基から奪ったモノを隠したのか、直接聞けるけれど。
……あ、脳ミソが無いと難しいのかな?
どうなんだろ??
あんま使った事がない「スキル」だから、細かい所が分からないや。
カノンの手持ちの転移方陣は、色んなヒトに踏まれ、その上焦って粗雑に扱ったせいで、破れてしまったのだそうだ。
だから俺が送り付けたヒト達皆、ココに留まっているのね。
気絶したヒトから送り付けて良かった。
まぁ、今連れて来たヒト達の中には、瑞基も含めて意識を失っていない状態のヒトもいるけれど。
転移方陣は何度か時の精霊の力を借りて破れる前の状態に戻したが、攻撃力こそ低いものの、意外と村長の防御力が高く倒せない状態が長く続いていた。
霊力を温存しようとすると時の精霊の力はなかなか使い所が難しい。
消費量がハンパないからね。
そのため浅葱と稜霓に村人達の保護をサポートして貰い、俺が合流するのを待っていたのだそうだ。
なのに打ち合わせにない魔王の姿で登場をするし、いきなり斬りかかって来るし、心臓に悪いとネチネチとグチられた。
村人達を守りながらの間怠っこしい攻防戦に苛立っているようだ。
ゴメンよ。
だからと言ってその面倒臭い作業を、少数ではあるが目撃者がいる中、俺が転移方陣を展開させたらおかしいだろう。
今から少し時間を作るからと言ってコッソリ直して渡し、カノンに使うように言った。
なるべく派手に見えるよう、精霊術で攻撃をして貰い、粉塵を巻き上げ目眩しを作る。
そして村長が横たわる場所まで後退した。
そして闇の精霊が生前得意とした「闇のスキル」を使う。
精神世界に強制的にハッキングして、無意識下の領域にある、言語化されていない情報まで根こそぎ奪い取る、なんともエグい「プライバシー?何それ??おいしいの???」と鼻であざ笑うような人でなしが使うような「スキル」である。
洗脳・記憶改変もお手の物。
ソレが「闇のスキル」の真骨頂だ。
今は闇の精霊として影や闇そのものを操っているようだけれど、あのオッサンの得意とする分野は、精神的な作用をもたらすものなのだ。
おかげで俺は、子供が受けるには余りにも惨い仕打ちを受けながらも、‘’世界再生計画‘’遂行の日まで、狂う事も自死する事すら許されず、生きる羽目になってしまったのだよ。
全部読むと大変だし時間がかかるから、瑞基に関する事、特に奪ったノートに関わる事だけを抽出して情報を読み取る。
頭であろう場所こそ潰れてしまっているが、難なく読める。
良かった。
そして水没や火災の被害を被らないよう、村長の部屋に待機させておいた琥珀に、念話による遠隔脳内会話でどの辺を探せば良いのかを指示をした。
回収した物は、何であろうと絶対に俺に渡すように釘も刺しておいた。
そうじゃないと、瑞基が泣く事になってでも、勝手に処分してしまいそうなんだもの。
生前の基と今の琥珀は、記憶はあれど全く違う存在だと言うのなら、故人の遺品は大切にしている娘に返すべきだろ?
……単に、どんな事が書いてあるのか、後でコッソリ確認して、好奇心を満たしたい、という理由もあるけれど。
ちょっと真面目な場では適切でない、欲望を出したせいだろうか。
ズズ……ッと何かに引っ張られるような、嫌な感覚がした。
後ろめたさからでは、ない。
実際に俺の精神が、村長に引きずられてしまったようだ。
慌てて「スキル」を解除する。
慣れない「スキル」で深入りをし過ぎてしまったらしい。
少々、頭痛が痛い状態に陥っている。
思わず頭を押さえて左右に何度か振ってしまった。
……ヘタこいたな。
精神世界に干渉する間は物質を介さないため、俺自身も防衛手段を持たずに精神体が剥き身の状態になってしまう。
長時間無防備になって油断をしていると、逆にコチラがハッキングし返されてしまうらしい。
意識を失っている相手だからと、油断してしまった。
私欲を出した罪の意識のせい、と言うよりは、余所事を考えて集中力を切らしたせいで、侵食され返されてしまった感じだろう。
すぐにリンクを切ったから、大事には至っていないが。
そんな俺の様子が、カノンの攻撃によってダメージを受けた事によるものだと勘違いしているらしい。
気絶していない村人達が沸いている。
声は聞こえないけれど、様子からして「ぶっ飛ばせ〜!」とか言ってんだろ、この野郎。
腹が立ったので、カノンではなく風球に攻撃をする。
ちゃんと颯茉の力なら、中のヒトに傷一つ負わせず防いでくれるように加減はしたよ!
ちょっとした、嫌がらせをしたいだけだもの。
だがその攻撃に、足元からナニカが合流して、あろう事かその勢いを強めてしまった。
なんじゃこりゃ!?
慌てて俺の攻撃は途中で消滅させ、颯茉に霊力を押し付けて風球の強化を促した。
そのお陰で攻撃による直接の負傷こそしなかったが、ナニカが当たった風球の中にいた人は、激しく後方まで吹き飛ばされ、中で目を回していた。
脳震盪程度で済んでいれば良いのだが。
異常事態と認識したカノンの行動は早かった。
修復した転移方陣を風を操り移動させ、村民を風球ごと避難所へと移動させ始めた。
コレなら颯茉の権能外へ場所が移動した途端、風球は消失するし、命令をした風の精霊にこの場にある風球に向かって行くよう指示を出しておけば、自動でこの場にいる転移させなければならないヒト達を移動させられる。
村長から目を離さずに済むので、何かがあれば、すぐに対処も可能だ。
着実に、風球の数が減っていく。
なのに、最後の一つ。
最もこの場に残って欲しくない風球だけが、転移方陣に触れても、消えてくれなかった。




