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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


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神さま、お茶を濁す。


やっべぇ!


この大量の水を堰き止めるなら、浅葱(あさぎ)の力を借りなきゃどうにもならんぞ!!?



オプスクリス開拓村の中央にそびえ立っているのは、外から海水や氷を引っ張ってきて、毎日t(トン)単位で塩や雑菌を含めた有害物質を除去している装置だ。


中に詰まっている量は、かなりの物になる。



ソレを支えている機械部は、一箇所亀裂が入ったら設計通りに力が分散されず、中に引き込んだ水の重さを支えられなくなってしまう。



全てが近いうちに崩壊し、村は水に呑まれるだろう。



そうなる前に、カノンも含めて離脱しなければ。






それよりも先に、このダバっと一斉に襲いかかって来る大量の水と氷の混ざった凶悪な滝をどうにかしなきゃだけれどね!



「……チッ!

 氷の精霊(スティーリア)っ!!」


舌打ちを一つし、マイナーな精霊の名前を呼ぶ。



つい最近誕生した精霊なので、出来れば大々的に華々しく宣伝出来る場面で使いたかったのだが……



だって魔王状態の俺が使役していたら、完全に悪の手先じゃん?


いくら元燼霊(じんれい)だからと言って、改心させたのに世間からそのままだと認識されたら可哀想だろ。



だが浅葱(あさぎ)程気心の知れた水の精霊(アクア)は居ない。


俺の桁外れの霊力を無遠慮に消耗して咄嗟の要求に応えてくれる精霊なんて、大精霊か精霊神くらいしかいない。


だから仕方が無いと、彼女には諦めて貰おう。



『――精霊使いが荒いわねぇ〜』


文句を言いながらも、喚びかけに応じた氷の精霊(スティーリア)は、大量の水を瞬く間に凍らせる。



さすが大精霊!


よっ!!

素晴らしいね!!!



しかし手放しに褒められない状況に陥った。


天井が崩れて来ていても、今までは外から直接冷たい風は入ってきていなかった。

なのに途端に周囲の温度が氷点下に至ってしまった。



村人を風の球体に閉じ込めて置いて良かった。


防寒対策もしていない普段着で、こんな冷気の中に放り込まれたら、数分と経たずに凍え死んでしまう所だった。


だが何分もこのままでいたら、冷気は風の壁を通り抜け、徐々に内部の温度を下げていくだろう。



ホント、使い勝手の悪い精霊様だ。



「……お母さん?」


バッと思わず氷の精霊(スティーリア)と二人、声の主を振り返る。



こういう時、本当は知らぬ存ぜぬを通すべきだ。

だが思わず、反応をしてしまった。



さっきまで 粉媒楢(クォルクス)による汚染が回復し切れていなくて、眠っていたじゃないか!?


なのに何で、よりにもよってこのタイミングで目を覚ますんだよ!!?



襲い掛かる水の塊を凍らせた氷の精霊(スティーリア)の姿を見た瑞基は、蒼褪めた顔をしている。


彼女は氷の精霊(スティーリア)の前世から虐待を受けていた。



そのせいかと思ったのだが……どちらかと言うと恐怖というよりも、幽霊を見た衝撃を受けたような表情だ。



氷の精霊(スティーリア)も他の精霊達と同様、前世の姿と非常によく似た造形をしている。


なんなら精霊だから、ちょっと透き通っているから向こう側が見えている。



……もしかしたら混乱に乗じて、母親の亡霊が見えたとか勘違いをしてくれるかもしれない。



良し!

ソレに賭けよう!!






そんな俺の心中なんて知る由もないセリアは、瑞基が無事に目を覚ました事に歓喜した。


瑞基は抱きつかれた事により、惚けていた意識が戻り氷の精霊(スティーリア)から視線を逸らす。



隙あり!


氷の精霊(スティーリア)に心の中で謝り倒し感謝しまくり、霊力を追加で押し付けて姿を消すように指示をした。


彼女も罪悪感があるため直接会いたくなかったのか、文句も言わずにサッサと消えた。



氷の精霊(スティーリア)が消えたのを確認すると、俺は氷を全て粉々に砕き、黒く燃える炎の消火に使わせて貰う。


証拠隠滅完了!



お陰で演出のためと思って方々に放火して制御を失いかけた黒い炎の勢いが、少し減ったぞ。

怪我の功名ってヤツだね。



コレで丸焼きになる心配は無さそうだ。

代わりに蒸し焼きになる心配をしなければならない位に、湿度が上がったが。



まぁ薄らとモヤがかかったお陰で、オバケが出そうな雰囲気を演出してくれる視覚効果も高まった。



きっと死にかけたせいで、夢を見ていたのだとか寝惚けてしまったのだろうと勘違いしてくれるだろう。



何を話しているかは聞こえないが、風球の中で笑い合っている姿を見るに、互いの無事に喜んでいるのだろう。


良かった、良かった。



そう思ったのも、束の間。



あろう事か、セリアが俺の方を指差し何かを告げようとしている。


口の動きからして、瑞基にバレたら非常に不味い事実を言おうとしている気がするぞ。

油断も隙もねぇ!



「……言いつけを破る悪い子は、オシオキをしなければいけないね」


二人が入っている風球の中に転移し、セリアの口を手で塞ぎ、コレ以上余計な事を言わないように、避難先の作りかけの村へと強制的に転移させた。


ふぅ、口封じ完了。



「……っ!?

 貴方……きゃぁ!?」



セリアを何処にやったのか。


ソレを問おうと俺の姿をバッチリ至近距離で視界に収め、髪色を認識した瑞基は当然、言葉を失った。



先程の氷の精霊(スティーリア)の時とは違い、今は寝起きでも何でもない。


誤魔化しは効かないだろう。



ならば俺が出来る事は、一つだけだ。


誤魔化せないなら有耶無耶にする!



スルリと一人風球から抜け出し、着地と同時に球体を操ってカノンの元へと移動させた。



俺を追い掛けようと外に出ようとしたようだが、伸ばされた手は風に阻まれ、俺を掴む事は出来ない。


颯茉(そうま)には俺以外の何者であっても通さないように言ってあるので、彼女は中に閉じ込められたままだ。



座っていれば良かったのに、立ち上がろうとしていたせいで、移動し始めた球体の中で盛大に転がっている。

そのせいで悲鳴を上げている。


可哀想にね〜。



このまま目を回して気絶して、全部夢だったのだと思ってくれればラッキーなのだけれども。


世の中そんなに甘くないよね〜。






濾過装置の被害状況を確認した後、球体を追い掛けるように移動を開始する。



氷の精霊(スティーリア)が凍らせてくれたのは、濾過装置の上層の部分だけだ。



水を外部から引き込んでいる水道管は今現在、表面は凍っている。


しかしその中身は、そのうち水の勢いによって溶かされ、滝のように村中に降り注ぐだろう。



マングローブのような塩分に対して適応した特殊な植物でも無い限り、大抵の植物は海水に浸かり続ければやがて枯れる。


紅曜(こうよう)の炎で燃やし尽くして、更に時の精霊(クロノス)に亜空間を一個作って貰ってソコにポイしようと思っていたが、そこまでしなくても良いかもしれない。



燼霊(じんれい)によって通常の 粉媒楢(クォルクス)からは作り替えられているため、霊力に対する耐性は強いようだけれど。


魔木である 粉媒楢(クォルクス)とて、 木である以上は、塩害に弱い特性からは逃れられまい。



水没する前に、琥珀(こはく)の遺品だけでも回収してやりたいんだけどな。


せっかく造った村を壊滅させてしまっているし。

詫びの意味も込めて、なんとか取り戻してやりたいものだ。



カノンの元へ移動を続けると、彼は俺が送り付けた風の球体の中に保護された人達を後ろ手に庇いながら、恐らく村長らしき影と戦っていた。



何故確定形でないかと言うと、なんか木の枝がグルグル巻になっていて、人型のシルエットはしているのだけれど、村長か否か、見た目だけでは判断出来ないんだよね。


なにせ燼霊(じんれい)は探知に引っ掛からないからさ。



あ、そっか!


ヒト相手じゃ無いから、罪悪感を感じる事も遠慮する事もなく、()()が使えるじゃないか!!



霊力を込めれば込める程移動速度が上がる‘’速度強化‘’の付与をしてある靴に、霊力を目一杯込める。


ついでに足に身体強化を施し、背後から猛スピードで燼霊(じんれい)に肉迫する。


そして恐らく頭が詰まっているであろう場所を、思いっ切り踏み付けた。



ベキャボギッとなかなかに痛そうな効果音と共に、樹化人間(バルケモンス)のような見た目になったソイツは地に伏した。


見事に靴がメリ込んだため、靴底の跡がクッキリと後頭部(?)についている。


コイツに一撃入れられて、レイプされかけた恨みを少し晴らせてスッキリした。



そして踏み付けた後頭部を蹴り飛ばす勢いで跳躍し、両手を振り上げ剣を「スキル」で創りつつ、カノンに上段から切りかかる。



当然この程度の攻撃なら、カノンは受け止められる。



俺は洋剣だしカノンが持っているのは杖になる。

そのため鍔迫り合いではなく、バインドのような状態になっている。


つまりとっても顔の距離が近い。



内緒話をするには、もってこいの距離感だという事だ。


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